循環経済、26年の市場規模は最大4500億円に

記事のポイント


  1. 循環経済の国際的組織が「サーキュラリティ・ギャップ・レポート2024」を発行した
  2. 同報告書は循環経済の2026年の市場規模を約3000~4500億円と予測する
  3. 循環経済の促進で、約200万人の雇用創出とGHGの4割減を見込む

サーキュラー・エコノミー(循環経済)の専門家らで構成する国際組織サークル・エコノミー財団は先月、「サーキュラリティ・ギャップ・レポート2024」を公開した。同団体は、サーキュラー・エコノミーの市場規模を2026年には20~30億ドル(約3000~4500億円)と予測する。また、循環経済の促進で、200万人近い雇用の創出と温室効果ガス(GHG)排出量の40%削減を見込む。(オルタナ副編集長・北村佳代子)

サーキュラーエコノミ―への関心が高まっている
画像著作者:Freepik

「サーキュラー・エコノミー(循環型経済)」への関心が高まっている。サーキュラー・エコノミーとは、廃棄物をなくし、資源(製品や部品等を含む)を循環利用し、自然への負荷低減を図りながら、新たな付加価値を創出し続ける経済社会の仕組みをいう。

■市場の急拡大で雇用創出や脱炭素効果も期待

サークル・エコノミー財団は、コンサルティング会社のデロイトトーマツとともに、サーキュラー・エコノミーの市場規模も測定した。

それによると、今後市場が急拡大し、2026年には20~30億ドル(約3000~4500億円)規模に達すると予測する。循環経済の促進で、200万人近い雇用の創出と温室効果ガス(GHG)排出量の40%削減を見込む。

なお、サーキュラー・エコノミーの市場規模は、これまでさまざまな機関が算定しているが、定義や算出のための前提条件が異なるため、乖離が大きい。例えば、2015年にはアクセンチュアが、2030年の市場規模を4.5兆ドル(約677兆円)と試算している。

■過去6年間の材料消費量は、20世紀全体の消費量に匹敵

「サーキュラリティ・ギャップ・レポート2024」によると、過去5年間でサーキュラー・エコノミーを題材にしたディスカッションや記事は約3倍に増えた。しかし、世界経済が消費する材料は増え続け、過去6年間でその総量は5000億トンに上った。

報告書はこの6年間での消費総量を、「20世紀全体での消費量とほぼ同量」で、「1900年以降の消費量全体の28%を占める」と指摘する。

材料の大半は、依然として、天然資源を使った「バージン原料」だ。材料消費が拡大する中で、二次材料の比率は、報告書を初めて発行した2018年の9.1%から2023年は7.2%に縮小した。

報告書は、循環経済がメガトレンドとなっているにもかかわらず、十分実践されるまでには至っていないと警鐘を鳴らす。

■リニア・エコノミーから脱却を

報告書は、地球の限界値を示す「プラネタリー・バウンダリー」にも言及しながら、リニア・エコノミー(直線型経済)の限界を訴える。

リニア・エコノミーとは、資源を採掘し、モノを作り、リサイクル・再利用することなく捨てるという一方通行型の経済の仕組みだ。直線的(リニア)にモノが流れることから、循環を示すサーキュラー・エコノミーの対義語として使われる。

報告書は、「プラネタリー・バウンダリー」の9つの重要な境界線(バウンダリー)のうち、すでに6つが破られてしまったのには、リニア・エコノミーの影響が大きいと断じた。

*「プラネタリー・バウンダリー」についてはこちらの記事をご参照。

グローバル規模でサーキュラー・エコノミーを推進していくためには、国によって優先順位が異なる。そこで報告書は、高所得国・中所得の成長国・低所得国の3つに分けて、それぞれの地域の優先事項を明確にした。

■高所得国は「消費パターンの転換」が急務

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北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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