トップコミットメントを得るためには――下田屋毅の欧州CSR最前線(32)

■ CSR への理解を得られる仕組みづくりが重要

取締役会が、CSRを理解し、取り組みを開始するにあたって、カナダ産業省は次のような「良いCSRガバナンスへ向けたロードマップ」を提唱している。

企業トップ・取締役会は、CSRガバナンスを委任するにあたり、現在のCSR関連のガバナンスを見直し、企業のCSRガバナンスの取り組みが、ベストプラクティスと比較してどのレベルにいるのかを理解することから始める必要がある。その上で、ロードマップを実践していく。

ロードマップの順番は、CSRガバナンスを見直した評価結果と取締役の優先順位に基づいて変化するが、その行動内容は一般的に次の2つに振り分けられる。

フェーズ1: 取締役は、早い時期に自分たちのCSRガバナンスの委任を進める。
フェーズ2: 取締役が、自分たちのガバナンスの役割にCSRをさらに統合することを承認する。

◆ フェーズ1(ファーストステップ)
 取締役自身が自社のミッションや企業価値、方針にCSRを組み込む。
 CSRに関する責任をCSR委員会に委任する。
 取締役のCSRに関するコミットメントを企業内、そして、ステークホルダーに伝える。
 CSRのリスクと機会について継続して取締役レベルに教育する。
 CSR戦略とリスクマネジメントに関する監視を実施する。
 主要な意思決定にCSRを反映させる。
 ステークホルダーに対するCSRパフォーマンスの情報開示を再検討する。

◆ フェーズ2(さらなるレベルアップ)
 効果的なCSRマネジメントシステムを確立する。
 取締役会がステークホルダーの生の声を聴くことができる公な仕組みを構築する。
 企業トップ・取締役の雇用にCSR要因を組み込む
 CSRパフォーマンスについての取締役報酬を導入する。
 取締役としての活動がCSRに沿っているかを確認するイニシアチブを導入する。
 CSRガバナンスを継続して改善していく為に取締役の年次評価にCSRを組み込む。

shimotaya_takeshi

下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..