■ 「CSR」に対するイメージがばらばら
CSR活動が停滞しているか、進んでいない企業は、企業トップ・取締役、CSR担当部門、そして、その他部門の従業員が、「CSR」について思い浮かべる内容が違っている。
特にこうした企業のトップや取締役は、CSRについての正確な理解が不足しており、CSRを「慈善事業」や「ボランティア活動」のようなものととらえることもあり、コストがかかる余計なものと認識している人が大半を占める。
CSRの推進には、トップダウン、ボトムアップの双方が求められ、企業トップ・取締役のコミットメントなしにはCSRの推進は難しい。こうしたなかで、どのように企業トップ・取締役からコミットメントをもらい、CSRを戦略的に実施していくようにしたらいいのだろうか。
欧州のCSR先進企業では、企業トップ・取締役は、「CSRは企業活動を進めていく上で必要不可欠なものであり、そして、企業がCSRに戦略的に取り組むことで企業に多くのメリットをもたらし、企業の持続可能性とともに、環境・社会の持続可能性にも貢献すること」を知っている。
CSRは、企業にとって重要なリスクと機会を表している。取締役がCSRを理解し、促進する必要があるのは、次の企業活動に重要な事項に関連しているからである。
CSRは、
1.企業戦略とビジョンに大きく影響を与え、さらなる強化ができる
2.取締役レベルの監視と説明責任を必要とする
3.リスク認識とリスクマネジメントに影響を及ぼす
4.取締役会の構成とそれぞれの専門性を必要とする
5.ステークホルダーへの適切な情報開示を実現する
CSR担当部門は、企業トップ・取締役に上記の重要性を理解してもらう勉強の機会を設け、そしてCSR推進のためのCSRガバナンスの構築の重要性を訴え、コミットメントを得る必要がある。