■オルタナ85号第二特集「ホルムズ危機はESGの追い風になるか」
2026年2月、米国とイスラエルによるイランへの大規模攻撃に端を発したホルムズ海峡の事実上の封鎖は、世界がいまだに化石燃料に依存していることを思い知らせた。多くの国は、危機対応の一環で供給面では再生可能エネルギー拡大、需要面では電気自動車(EV)普及などの対策を急いでいる。だが、最も影響を受けている国の一つの日本は、化石燃料の安定確保だけに奔走し、逆走ぶりが際立っている。(ジャーナリスト・石井徹)
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■省エネ措置をIEAが求める
国際エネルギー機関(IEA)は26年3月11日、加盟32カ国の合意のもと史上最大規模の緊急備蓄協調放出(4億バレル:約6360万㌔㍑)を決定した。レポート「オイルショックからの避難」を公表し、政府・企業・家庭が即実施できる需要側の10措置を提示した。
そして約80カ国の政策措置を集約したオンラインツール「2026年エネルギー危機への政策対応トラッカー」を公開した。6月4日時点で、55の国と地域が、リモートワークの義務化やエアコンの温度制限、交通対策などに取り組んでいる。
IEAが示した10の需要削減のための即時対策は以下の通りだ。
- 可能な限り在宅勤務を行う
- 高速道路の制限速度を少なくとも時速10km引き下げる
- 公共交通機関の利用促進
- 大都市の道路の自家用車の通行を曜日ごとに交互に制限
- カーシェアリングの拡大と効率的な運転習慣の定着
- 商用車および貨物輸送における効率的な運転
- バイオ燃料への切り替えなど輸送部門でのLPG使用の削減
- 代替手段が存在する場合は航空機での移動を控える
- 可能な限り調理方法をLPGから電気などの近代的方法に切り替える
- 石油化学原料の柔軟性を活かし、短期的な効率改善や保守措置を実施
IEAは、交通関係で呼び掛けたテレワークの推進、高速道路制限速度の10㌔㍍以上引き下げ、公共交通へのシフト促進、カーシェアリングと経済運転の奨励、代替手段がある場合の飛行機利用抑制などを組み合わせると、4カ月以内に世界の石油需要を日本の消費量の8割にあたる日量約270万バレル削減できると試算している。

(この続きは)
■世界で加速する太陽光発電の設置
■原油高騰の打撃、依存の危うさ
■日本は脆いのに危機感が薄い
■「経済を止めるな」古い思想の呪縛
■需要抑制の機能、補助金が破壊
■ナフサショック、政府見解と乖離
■アンモニア混焼、CO2は減らず

