記事のポイント
- 東京海上HDは「気候変動に対する基本的な考え方」を改定
- 脱炭素計画を持たないGHG高排出企業から撤退すると表明した
- 環境NGOは、保険引受ポートフォリオの排出削減目標の設定を求めた
東京海上ホールディングスはこのほど、「気候変動に対する当社の基本的な考え方」を改定した。東京海上日動火災保険で、温室効果ガス(GHG)高排出企業60社を対象に、2030年までに脱炭素計画を有していない企業とは取引を行わない方針を掲げる。(オルタナ副編集長=吉田広子)
東京海上ホールディングスがGHG 高排出セクターとして挙げるのは、「石炭(電力)、石油ガス、運輸、不動産、鉄鋼、セメント、アルミニウム、農業」だ。対象企業は60社で、同社はエンゲージメントを通じて脱炭素計画の策定を求め、2030年までに脱炭素計画を有していない企業とは取引を行わない。
これを受け、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)など環境NGO4団体は、共同声明を発表。「石油ガス、鉄鋼、セメントなどのGHG高排出企業との取引を停止する方針を掲げたのは、アジアの損害保険会社として初であり、東京海上の先駆的な取り組みを歓迎する」とした。
一方で、「60社に求められている脱炭素化計画の内容について具体的な要件が設定されていない」として、「保険引受ポートフォリオの排出削減目標を設定すること、および保険引受先企業にパリ協定1.5度目標に整合する脱炭素計画を提出するよう求めること」を要請した。
加えて、東京海上キルンを含む東京海上グループの全子会社に対象を拡大し、東アフリカ原油パイプライン(EACOP)やキャメロンLNGプロジェクトなど、全ての新規化石燃料事業への保険引受の停止方針を掲げることを求めた。