記事のポイント
- アクセンチュアは「ネットゼロ」の達成を見込める企業は18%だと公表した
- 日本企業で達成が見込める企業は15%だった
- 世界の大手2000社を対象に、2050年ネットゼロの実現可能性を調べた
アクセンチュアは12月4日、世界の大手2000社を調べた結果、2050年までに「ネットゼロ」の達成を見込める企業は18%だと公表した。日本企業で達成が見込める企業は15%だった。同レポートでは、事業の成長と脱炭素化を統合し、事業そのものを変革し直す機会にすべきだと強調した。(オルタナS編集長=池田 真隆)
同社は12月4日、調査レポート「Destination net zero」を公表した。世界の大手2000社のネットゼロに向けた状況を調べた。その結果、2050年までにネットゼロの達成を見込める企業は、わずか18%だった。現在の経済環境では、38%の企業が脱炭素化に向けた意欲的な投資はできないと回答した。
同レポートによると、ネットゼロの達成を目標にする企業は、2022年の34%から37%に微増した。その一方、排出量を開示した企業の49.6%が、2016年以降排出量が増えていた。32.5%の企業は排出量を削減できているが、現在のペースでは、2050年までのネットゼロの達成は難しいことが明らかになった。
この結果について、アクセンチュアのジャン=マルク・オラニエ欧州・アフリカ・中東地区CEOは、「企業によるネットゼロに対するコミットメントが増加したことは喜ばしいことだが、重要な脱炭素施策の採用は一様ではなく、基本的な取り組みを実行できていない企業もあった」と話した。
ネットゼロに向けた取り組みは、障壁はあるが、機会でもあると強調した。「事業の成長とネットゼロ対応の方向性を統合し、自身を変革し、バリューチェーンを再構築する機会でもある。需要と供給の分断に対処する必要があるため、これは企業にとどまらず、エコシステム全体のチャレンジでもある」。
■国内企業でネットゼロ掲げる割合は57%
国内企業に関しては、ネットゼロの達成を目標に掲げた企業は57%に上り、世界平均の37%よりも高い値だった。だが、2050年までにネットゼロの達成が見込める企業は、世界平均の18%よりも低い15%に留まった。
アクセンチュアの海老原城一・ビジネス コンサルティング本部 ステナビリティプラクティス日本統括マネジング・ディレクターは、「⾃社による直接的な排出量だけでなく、サプライチェーン全体で考える必要がある」とし、取引先企業も含むエコシステム全体で計画的で具体的なアクションが重要だと指摘した。