「ネスカフェ原宿」が大幅刷新、サステナ体感ストアへ

記事のポイント


  1. コンセプトストア「ネスカフェ原宿」がフルリニューアルした
  2. 店舗開発からメニューまで同社の若手メンバーが考案した
  3. カフェ利用だけでなく、アップサイクルのワークショップなども行う

ネスレ日本は4月5日、2015年から運営する「ネスカフェ原宿」をリニューアルオープンした。サステナビリティをブランドの核に持つネスカフェのコンセプトストアだ。コーヒーボトルのカスタマイズや使用したネスカフェ製品で新製品を作るアップサイクルなどを体験することもできる。店舗開発からメニューまで、同社の若手メンバーが中心になって企画した。(オルタナ副編集長=池田 真隆)

店内中央には、リサイクル可能な段ボールで制作した「コーヒーの木」

コーヒーの木で情緒的な「つながり」を

「特にこだわったのは、リサイクル可能な段ボールで制作したコーヒーの木です」。こう話すのは、ネスレ日本 飲料事業本部レギュラーソリュブルコーヒー&システム&ギフティングビジネスボックス部に所属する益戸洋平氏だ。ネスカフェ原宿のフルリニューアルにあたり、益戸氏がリーダーとなり、20~30代のメンバーが集まった。

ネスカフェ原宿のリニューアルプロジェクトを率いた益戸氏

若者が多い原宿で展開するには、より若者に近い世代の価値観で企画することが重要だと考えた。同社にとって、若手メンバーだけでプロジェクトを組むことは珍しい。

内装を決める際、益戸氏が提案したのが、「コーヒーの木」だ。ネスカフェは2023年秋から、新コンセプトとして「Make your world」を掲げた。コーヒー豆の調達から製造、消費、廃棄までライフサイクル全体で環境配慮に取り組む。

ネスカフェとしてサステナビリティを強化する背景には、コーヒーの2050年問題がある。コーヒー栽培に適した土地は、北緯25~南緯25度に限られている。気候変動の影響で、コーヒー栽培に適した土地が最大で50%減ることが予測されている。さらに、コーヒー農家の約8割が、貧困状態にもある。

人口が増え、コーヒーに依存する人が増えていくと、2050年にはコーヒーが飲めなくなる日が訪れるかもしれないのだ。

あえて席数を削り、コーヒーの木を最も目立つ場所に配置したのは、コーヒー農家との「つながり」を意識させ、ネスカフェのブランドコンセプトを打ち出すためだ。

コーヒーの木があることで、店内には農園にいるように解放感と温かみのある空間が広がる。壁には、コーヒー農園から一杯のコーヒーができるまでの工程を描いた巨大な絵を飾った。

スタッフのユニフォームはアップサイクルで作った

スタッフが着用するユニフォームは、詰め替えパッケージである「ネスカフェ ゴールドブレンド エコ&システムパック」をアップサイクルして作った。カウンターテーブルの天板もそうだ。

紙パッケージの「ネスカフェ ゴールドブレンド エコ&システムパック」をアップサイクルしたスタッフのユニフォーム

今後は、コーヒーのマイボトルをカスタマイズできる体験会やアップサイクルのワークショップなどを実施する予定だ。

益戸氏は、「ネスカフェを選ぶという小さな行動がサステナブルな未来につながることを体感してほしい」と話した。

3つあるペアリングセットは各1500円、写真は「チョコレートムースのミルフィーユ」

ネスカフェ原宿の営業時間は11時から20時まで。ネスカフェだけでなく、若手バリスタが監修した、季節に合ったドリンクや特製スイーツとのペアリングセットなどを提供する。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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