フランス南西部のワイン産地ガイヤックの小さな醸造元「ドメーン・プラジョル」が、忘れられていた地場ぶどう品種のワイン作りを成功させ、同産地の新しい時代を切り開いている。(取材・文 パリ在住=菊地広子/hkikuchi(a)orange.fr)
フランスの代表的なワイン産地ボルドーの内陸東部に広がる「シュド・ウエスト」(南西部の意味)は、テロワール(その土地特有のぶどう作りの自然環境)のモザイクのようなバラエティーに富んだワイン(21種類のAOP、15種類のIGP)の生産地だ。
その一つである「ガイヤック」は、フランス最古(紀元前2世紀)のワイン産地と言われ、中世には仏王ヘンリー4世や英国王室の好みの高級ワインとして有名になり、ボルドー港からヨーロッパ諸国へ輸出されていた。
その後、さまざまな要因で衰退の道を辿り、マイナーな存在になっていたが、最近ガイヤックだけの地場ぶどう品種で作ったユニークなワインで有名になり、新しい時代を迎えている。
その仕掛け人は、5世代にわたってガイヤックでワイン作りを続ける老舗醸造元「ドメーン・プラジョル」だ。
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