IGESが1.5℃ロードマップ、5つの変化と20の重点領域示す

記事のポイント


  1. IGESは企業向けに脱炭素経営の指針となる「1.5℃ロードマップ」を公表した
  2. 脱炭素化に向かう中で起きる社会経済の「変化」と「事業機会」を示した
  3. 具体的な移行戦略が求められる中、企業にとって参考になる資料だ

公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)はこのほど、企業向けに脱炭素経営の指針となる「1.5℃ロードマップ」を公表した。世界が脱炭素化に向かう中で起きる社会経済の変化と事業機会を「5つの変化」と「20の好機」としてまとめた。カーボンニュートラルを宣言するだけでなく、具体的な移行戦略が求められる中、参考になる資料だ。(オルタナ副編集長=池田真隆)

IGESが策定したロードマップは、「1.5℃ロードマップ-脱炭素でチャンスをつかむ。未来をつくる。」。約170ページに及ぶ報告書だ。IGESの公式サイトで無料で公開した。

国連のアントニオ・グテーレス・事務総長が、「地球沸騰の時代が来た」と指摘したように、気候危機が顕在化する。こうした社会において、企業には、パリ協定で定めた「1.5℃目標」と整合した移行戦略を描くことが求められている。

IGESが策定したロードマップは、長期的な視野で移行戦略を考える際に参考になる。1.5℃目標の達成に向けて、世界で起きることが予想される社会経済の変化と事業機会を、「5つの変化」と「20の好機」としてまとめた。

セクターごとに、いつ、どのような変化があるのかを示したので、自社に関連する事業機会を特定しやすくした。事業機会を生かすために必要なルールメイキングも把握できるようにした。

5つの変化とは、「生産性」「エネルギー」「素材利用」「ルール・インフラ」「マーケット・マインド」を指す。それぞれに4つの事業機会を示し、企業は脱炭素化に向かう中で、自社にとってのビジネスチャンスを見出すことができる。

企業は自社にとってのビジネス上の機会を特定できる
2050年に向けてどう変わるのかを示した

IGESは、5つの変化を企業の好機にするために3ステップで考えるべきとした。一つ目のステップは、各企業が長期的な戦略の下で、製品・サービスの価値を高めていくことだ。二つ目は、先進企業が損をせず、社会での共創をひろげるために、ルールメイキングに力を入れること。そして、社会情勢・ニーズやルールの変化の中で企業の中核的な能力を強化し、持続的成長を目指すこととした。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #脱炭素

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