記事のポイント
- ソニーとQDレーザは、盲学校などに網膜投影カメラキット約200台を寄贈
- カメラがとらえた被写体を網膜に投影して撮影できる製品だ
- 視力やピント調節機能が低くても、撮影しやすくした
ソニーとQDレーザは4月24日、全国の盲学校や視覚障がい者施設・団体に、網膜投影カメラキット「DSC-HX99 RNV kit」約200台を寄贈したと発表した。カメラがとらえた被写体を網膜に投影して撮影できるロービジョン者向け製品だ。(オルタナ副編集長=吉田広子)
ソニーグループは2025年度までに、原則すべての製品やサービスで「インクルーシブデザイン」を取り入れ、当事者の声を反映させる方針を掲げた。
同社は2019年から、視覚や聴覚、身体など様々な障がいがある人と行動をともにし、対話を重ねる社内研修「インクルーシブデザイン・ワークショップ」を開催している。
2023年3月には、ロービジョン者向け網膜投影カメラキット「DSC-HX99 RNV kit」を発売。ソニーのデジタルカメラ「サイバーショット」と、QDレーザのレーザ網膜投影ビューファインダーを組み合わせた。
プロジェクターでスクリーンに投影するように、カメラがとらえた被写体をそのまま網膜周辺に投影するので、視力やピント調節機能が低くても撮影しやすい。
同製品を寄贈された八王子盲学校(東京都八王子市)では、児童らがカメラを使って撮影を体験した。小学3年生の女の子は、怪獣のぬいぐるみや友達を撮影。レンズをのぞき込んで、「遠くの方までよく見える」と嬉しそうだ。
普段からスマートフォンを使って、写真や動画を撮影していると言い、「カメラで撮った写真は家族に見せたい。これからいろいろ撮るのが楽しみ」と笑顔を見せる。
大島正昭・ソニーイメージングエンタテインメント事業部長は、「発売以来、多くの喜びの声が届いている。一人ひとりがクリエーティビティを発揮し、自己表現を楽しみ、感動を分かち合える世界をつくりたい」と話した。
ソニーイメージングギャラリー 銀座(東京・中央)では、5月10日から16日まで、ロービジョンの人たちが網膜投影カメラキットで撮影した写真の作品展を開催する。