記事のポイント
- 社会に「障がい」があるとする「障がいの社会モデル」という考え方がある
- こうした社会的な障壁を取り除く、さまざまな製品やサービスが生まれている
- 「合理的配慮」は、イノベーションを促進し、ビジネス創出につながりそうだ
環境や社会の仕組みが「障がい」を生み出すととらえる「障がいの社会モデル」という考え方がある。こうした社会的な障壁を取り除く、さまざまな製品やサービスが生まれている。モスバーガーは分身ロボットを活用し、外出困難者の就労を進める。ホンダ発ベンチャーのAshirase(あしらせ)は、視覚障がい者向けの歩行ナビゲーションを開発した。日本では、24年4月から企業に対し「合理的配慮」の提供を義務付けるが、リスク管理にとどまらず、イノベーションを促進し、ビジネス創出にもつながりそうだ。(オルタナ副編集長=吉田広子)
(目次)
■ 外出が困難でも、分身ロボットで働く
■ ホンダ発ベンチャー、足への振動でナビするアプリ
■ 社会的障壁をどう取り除くか
「真っ白だったスケジュール帳が仕事で埋まる喜び、誰かに頼りにされる喜び、自分で稼いだお金で親孝行できる喜び─。モスバーガーで働き始めて、たくさんの喜びを発見できた」
脊髄性筋萎縮症(SMA)という神経性の難病を抱え、電動車イスで生活する酒井麻椰さんは、モスのフランチャイズのオーナーが集まる会で、こうスピーチした。酒井さんは就職先が決まらないまま大学を卒業し、「社会から切り離された」気持ちで過ごしていたという。
そんなときに、分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」のパイロット(スタッフ)を募集していることを知った。オリヒメとは、オリィ研究所(東京・中央)が開発した、全長20㌢㍍ほどの遠隔操作型ロボットだ。