記事のポイント
- 外務省はこのほど、「ポストSDGs」を考える検討会を立ち上げた
- 上川外務相が出席し、有識者と2030年以降の国際目標について話し合った
- 外務省がポストSDGsに関する検討会を立ち上げるのは初だ
外務省はこのほど、「ポストSDGs」を考える検討会を立ち上げた。検討会には、上川陽子外務相が出席し、10人の外部有識者とSDGsの目標年である2030年以降の国際社会のあり方について議論した。外務省がポストSDGsに関する検討会を立ち上げるのは初だ。(オルタナ副編集長=池田 真隆)
検討会の名称は、「国際社会の持続可能性に関する有識者懇談会」。10人の委員は多彩な顔ぶれだ。
学術界からは、エネルギー政策に詳しい、高村ゆかり・東京大学未来ビジョン研究センター教授や科学技術でSDGsの達成を後押しする国連「10人委員会」のメンバーである、小谷元子・東北大学理事・副学長、公共政策に詳しい、広井良典・京都大学人と社会の未来研究院教授らが選ばれた。現代美術家の日比野克彦・東京藝術大学学長も出席した。
産業界からは、中部電力の勝野哲・会長(GX実行会議構成員)、自動車部品メーカー・ダイヤ精機の諏訪貴子・社長( 「新しい資本主義」有識者)が選ばれた。Z世代の近藤英里奈・ G7/G20 Youth Japanメンバーもいる。
一般的に、有識者委員会は国や自治体の意思決定に対して意見する「諮問機関」という位置付けだ。だが、今回の有識者懇談会は通常のケースとは異なる。
外務省が事前に考えた「ポストSDGs」枠組みについて、有識者に意見を求める形ではない。その狙いは、議論の活性化だ。2030年以降の国際社会と日本の持続可能性のあり方について自由に意見を交わし合う。
4月22日に1回目の会合を開いたが、今後のスケジュールは未定だ。話し合った内容について、提言としてまとめる予定もない。
各有識者が2030年以降の国際社会を予測し、持続可能な経済社会をつくるための戦略や施策を提案する。
1回目の会合では、広井・京都大学教授が、公共政策のあり方についてプレゼンした。AIで予測した2050年の日本についてシナリオ分析し、その社会で求められる公共政策を提案した。
Z世代の近藤氏もプレゼンした。近藤氏は、将来を担う世代の関心は「心身と地球の健康」「成長」「繋がり」の三要素とし、これらを同時に実現していく観点から「Happy Economics」というコンセプトを提案した。
上川外務相は、「国際社会全体の持続可能性の確保に向け、様々なステークホルダーから知見を得ながら、成長と持続可能性を同時に実現していくためのアプローチを創造的に検討したい」と話した。
この委員会で自由に議論し、日本発の「ポストSDGs」枠組みを発信し、国際社会をリードすることを狙う。