米カルパース、気候変動対策巡りエクソンCEOの再任反対へ

記事のポイント


  1. 米国最大の公的年金基金がエクソンCEOの再任に反対する意向を示した
  2. エクソンが環境団体に対し訴訟を起こしたことを問題視した
  3. 同社の株主総会は5月29日に予定されている

米国最大の公的年金基金であるカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)は5月20日、エクソンモービルCEOと同社取締役会12人の再指名に反対するとの声明を発表した。エクソンが環境団体に対し訴訟を起こしたことを問題視した。同社の株主総会は5月29日に予定されている。(オルタナ副編集長=吉田広子)

エクソンは1月、米投資会社アルジュナ・キャピタルとオランダの環境保護団体フォロー・ディスを訴えた。この2者は、株主として、エクソンに対し、より野心的な温室効果ガス排出量の削減目標を設定するように求めていた。

エクソンは株主総会での提案を避けるために、訴訟を起こした。その後、投資家らは提案は取り下げたものの、訴訟は続いている。

こうした状況を問題視したのが、カルパースだ。エクソンに対し、テキサス連邦裁判所で係争中の反株主訴訟を取り下げるよう求めた。

カルパースの声明文の主な要旨は次の通りだ。

「株主の権利が、真実を求めた2つの小規模株主グループを罰するために、米有力企業のリーダーが起こした訴訟によって、脅かされている。この訴訟が成功すれば、企業の収益改善におけるすべての投資家の役割と権利が減退する可能性がある」

「エクソンモービルの取締役は、ダレン・ウッズCEOが無謀で破壊的な取り組みを追求することを許可しており、私たちは5月29日の年次総会で彼らを支持することはできない。他のエクソンモービル株主にも同様の行動をとり、私たちの声が沈黙しないというメッセージを送るよう強く求める」

「カルパースの投資は世界に変化をもたらす。私たちはポートフォリオの規模を利用して企業の改善を要求することで変化をもたらす。私たちはエクソンモービルの取締役がこの訴訟を再考することを期待している」

yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

執筆記事一覧
キーワード: #脱炭素

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..