田村厚労相、「化粧品の動物実験廃止、予算措置目指したい」

■ 約8割の国で化粧品の動物実験が継続中

日本には全ての化粧品に動物実験が義務づけられているわけではない。化粧品の安全性保証は、企業が自己責任で行うので承認申請の仕組みはないのだ。しかし、新しく開発したタール色素、紫外線防止剤、防腐剤を配合するときや、配合量を規制されている成分の量よりも増やしたいときには、安全性の面から動物実験を行わなければいけない決まりとなっている。

主な動物実験としては、「眼刺激性試験」、「皮膚感作性試験」、「単回投与毒性試験」などがある。眼刺激性試験では、マウスとしてウサギを利用し、片方の眼に試験物質を点眼し、その刺激を観察する。眼を手足でこすらないように保定器で拘束された状態で96時間の経過をみるという。ウサギが激痛を感じている場合は、直ちに殺処分される。

単回投与毒性試験は化学物質の毒性をはかるために行われる。あらかじめ断食させておいた動物の口へ強制的に試験物質を投与する。中毒症状を2週間ほど観察し、実験後は生死に関わらず、全て解剖される。

美しさに犠牲を強いる動物実験のあり方が問題視され、日本では、資生堂とマンダムが動物実験廃止(中国向けの製品を除く)に踏み切った。

しかし、花王やカネボウなど他の大手メーカーは動物実験を継続している。動物実験の代替法である科学的手法を取ると、コストがかかるためや、化粧品業界内でのしがらみもあるという。

昨年3月、EU全域で化粧品の全面禁止が決まったが、いまだに約8割の国で動物実験は行われている。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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