資源循環は「地域性」考慮せよ

先日、NHKのニュースで、スウェーデンの首都ストックホルムで生ごみをバイオガス化し、バスの燃料として使っているという特集を見た。スウェーデンでは、各家庭が生ごみを分別排出することが法律で義務化された。 

その結果、生ごみ発酵で得られたガスがバスの燃料として使われるようになったのだという。 一人のアナウンサーが「日本でも実現できると良いですね」と、無邪気な感想を述べていたが、私の頭の中では色々なことがぐるぐる回っていた。 

一体、異物の混入をどうやって防ぐのか、一旦入ってしまった異物をどう除去するのか。燃料として使えない残渣の処理はどうするのか。生ごみの分別収集、運搬費用はいくらになるのだろうか。バイオマス化のための施設の費用はいくらか。 

バスも特注だろうから相当高くつくだろう。インフラ整備も大変だ。一体全体、エネルギー収支と財政的収支はどうなっているのだろうか。そんなことが次々と浮かんできたのだ。 

こう書くとストックホルムの生ごみのバイオマス化について否定的に考えているように思われるかもしれないが、そうではない。 

ストックホルム市がこのような取り組みを始めたのには理由があるはずで、以上のような問いにも、一定の合理的な答えがあるに違いない。その答えを是非聞いてみたかったが、残念ながら、ニュース番組ではそこまでの突っ込みはなかった。

■好事例は応用して使う

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細田 衛士(東海大学副学長、政治経済学部教授)

東海大学副学長、政治経済学部教授。1953年生まれ。77年慶応義塾大学経済学部卒業後、同大学経済学部助手、助教授を経て、94年より教授。2001年から05年まで同大経済学部長を務めた。中央環境審議会委員や環境省政策評価委員会委員なども歴任した。

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