どこでも「ムラ社会」をつくる日本企業の急所

■ CSR報告書も見直す必要

米国トヨタ自動車の日本人トップによるセクハラ事件でも相当稼いだ弁護士がいる、ということを聞けば、やはり日本人を標的にしているとしか思えなくなる。ではどうすれば良いか。

私は次のように提案する。

1)CSR報告書など発行を思い切って止める。ありきたりのニュースでなくネガティブであっても、より現実味のある情報を盛り込む。

2)経営首脳陣に対し徹底的にコンプライアンス教育を施す。特に製造、設計、R&D、施設保全などの部署の出身者で米国現地法人のトップになる候補者に向けての教育。

3)社内弁護士の数を増やす。米国での弁護士資格は簡単に取れるので事務系社員には法律知識を最優先課題とする。

4)社内の現地人社員との意思疎通を円滑にする。社内運動会や盆踊りなど日本的な慣習をどんどん持込み異文化共有を促す。

少し言い過ぎかもしれないが、日本企業は全くグローバル化していない、しようとしないのが諸悪の根源で、社員への教育が業界団体(経団連も含めて)こぞっての「金太郎あめ」現象だ。

コンプライアンスの考え方も杓子定規で個性がなく全所属企業が同様・無難なCSR教育しか施さず、必要悪的に逃げているしか思えない。

日本企業は「グローバル経済社会をあまりにも甘く見ている」気がしてならない。

上原 修(うえはら・おさむ):
特定非営利活動法人日本サプライマネジメント協会理事長、CAPS日本研究会チェアー、ESSECビジネススクール特任教授、法政大学経営大学院兼任講師

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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