さて、優勝チームだが、何とわが明治学院大学GSR研究会ということになった。「中国農村部における女性のエンパワーメント」と題し、化粧の力で中国の農村の女性に自信を持たせ自立を助けようというビジネスモデルを考え出した。 あまり知られていないが、中国の農村では女性の自殺率が高いという。その事実を掘り起こしただけでも見事だが、資生堂の化粧品、中国にある工場、美容学校を活用。現地NGO「農家女」の支援も得て地域に美容サロンを開設する。そこには、中国国内に多くの関連会社と圧倒的な流通網を持つ伊藤忠が仕入れたベビー用品や衛生用品なども置き、女性が集まりやすい工夫をする。

審査員は「心の中にスポットを当てた点はユニーク」「化粧品という小さな商材でも積み重ねれば社会を変えていけるという提案だ」と高く評価した。特筆すべきはプレゼンの出来が出色だったこと。内容はすべて暗記しており、いかに会場の人に訴えるかに力を入れていた。またパワーポイントではなく、Prezi(プレジー)という新しいプレゼン作成ツールを駆使して、他大学を圧倒した。

企業の人たちも駆け付け、意外で新鮮な学生の発想に感心しきりだった。年々、提案内容は良くなってきている。来年は、一段と素晴らしいプレゼンが見られるに違いない。

いっそ、参加企業も大学ももっと増やしてみてはどうか。全国各地で予選を行い、勝ち上がって、最後に優勝を決めるのも面白い。これでは、まるで甲子園ではないか。そう、「GSR甲子園」、意外にいけるかもしれない。

少子高齢化、貧富格差拡大、自殺など、将来に展望が開けない時代だけに、こんなイベントで、日本を元気にさせ、世界を変えて行く若い人が育ってくれるなら、こんな嬉しいことはない。

※イベントの模様は日経チャンネル(http://p.tl/Zo8I)か日本経済研究センターのホームページ(www.jcer.or.jp)で見ることができる。

【はらだ・かつひろ】日本経済新聞社ではサンパウロ、ニューヨーク両特派員。国連、NGO、NPO、社会起業家のほか、CSR、BOP ビジネスなどを担当。日本新聞協会賞受賞。2010 年明治学院大学教授に就任。オルタナ・CSR マンスリー編集長。著書は『CSR優良企業への挑戦』『ボーダレス化するCSR』など。

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第3号(2012年12月5日発行)」から転載しました)

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