疲れを悪化させる原因の一つとして「孤独感」も指摘されている。CSR担当者は、会社の「将来を守る」ために、一人で、または限られたリソースと数人の同僚だけで持続可能性の課題に取り組んでいる、という感覚を持っているからだ。

この症状についてあれこれ長い間語ることはできる。しかし、本当に重要なのは、完治に至らなくても、その症状に対して何らかの治療をすることだ。

では、どのような治療が効果的なのか。その鍵はネットワーキングにある。他社で同じCSR 業務に携わっている人が集まり、CSR疲れに同情したり、対応策や戦略について共有し、情報交換などができるネットワークが重要なのだ。

CSR Asiaではパートナー企業のCSR 担当者がレポートやプロジェクトに関して他社の仲間からプロの意見を得られる「ピア・レビュー」を提供している。また守秘義務が守られる環境でそれぞれが抱える問題について語り合う安全なネットワーキング・スペースも提供している。CSR Asiaの既存の地域や国のネットワークを通して、パートナー企業はこうしたネットワーキングの機会の価値をより高く認識するようになったと語る。

2013 年のCSR Asiaの努力目標は1)パートナー企業にこれまで以上の多くのネットワーキングの機会を提供し、共通の課題に向けたソリューションを模索すること2)その会社の管理職や経営陣と関わるCSR担当者をサポートし、役員会を味方につけるためにお手伝いをすること――だ。

治療の第二段階として必要なことは、持続可能性の分野において健全な競争を生み出すことだ。持続可能性を追求するための戦略を立て、明確なコミュニケーションを図ることで、競争力というメリットを得ることができると確信している。言い換えれば、真のベストプラクティスを提示し、それが大きな投資利益をもたらすことを示すことだ。

変化をもたらすための持続可能な事業慣行における競争を奨励し、持続可能性を実践することの価値を高めていく必要がある。最初の処方薬を手に入れ、この第二段階の治療が終了すれば、しぶといCSR疲れを完治できるかもしれない。

(高橋佳子 CSR Asia シニア・プロジェクトマネジャー 監訳)

【エリン・ライオン】CSR Asia エグゼクティブ・ディレクター。 英国とウェールズの弁護士。アジア、米国、欧州の各企業のCSR コンサルティングやCSR 情報開示、ステークホルダーエンゲージメントなどの分野について豊富なコンサルティング経験がある。05 年にCSR Asia シンガポール事務所を立ち上げ、グローバル統括責任者を務める。

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第3号(2012年12月5日発行)」から転載しました)

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