長期的トレンドを見通すと、「サステナビリティ」も新しい提供価値を発見するための有効な切り口です。地球環境問題が顕在化し、グローバル経済の影響が世界中で社会問題を引き起こしています。情報技術の発達とも相まって、世界的に社会・環境問題への関心が高まっています。サステナビリティ重視は、不可逆なメガトレンドだと確信を持って言えます。

社会・環境問題への感度を高め、製品・サービスをサステナビリティの視点で見直すことにより、新しい提供価値が見えてきます。

前述の「シルク・ドゥ・ソレイユ」も、動物ショーではなく芸術性の高い音楽とダンスを提供しようと考えたきっかけの一つに、動物を使うことに対する社会の反発が強まっていたことがあります。

また、様々な業界で、社会・環境問題に対応する製品・サービスが生まれており、こうした動きから、顧客が潜在的に求める新たな提供価値を学ぶことができます。

例えば、2012 年、日本に進出して人気を博している「ベン&ジェリーズ」は、フェアトレード証明された原材料の使用を提供価値の一つとしています。「スーパーホテル」は、フロント社員のサービスを削減する一方、快適な寝心地、天然温泉などの提供価値を強化し、ブルーオーシャンを創造。最近では、ロハス(LOHAS)を強化しています。

「サステナビリティ・レンズ」を用いて製品・サービスの提供価値を見直せば、将来さらに広がっていくブルーオーシャンが必ず発見できるはずです。あとは、少々リスクを感じても、そうしたブルーオーシャンに漕ぎ出すことです。そうすれば、企業の長期的な成功を導くことができるでしょう。

クラレ創業者の大原孫三郎氏は言っています。「十人の人間のうち、五人が賛成するようなことは大抵手遅れだ。七、八人がいいといったらもうやめた方がいい。二、三人位がいいということをやるべきだ」。

【みずかみ・たけひこ】東京工業大学・大学院、ハーバード大学ケネディースクール卒業。旧運輸省航空局で、日米航空交渉、航空規制緩和などを担当した後、アーサー・D・リトルを経てクレアンに参画。CSR/サステナビリティのコンサルティングを主業務とする。

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第4号(2013年1月5日発行)から転載しました)

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