下図は自動車会社を筆頭とする組立産業の調達チェーンを代表したものであるが、ティア3(サプライの階層3番目のこと)XとYが海外にあるサプライヤー企業を意味する。
製造メーカー(主要購入者)は直近のサプライヤー3社から調達するという模範的な購買手法を採っているが、よくよく見るとティア2が同じ供給元であることがわかる。
そのティア2は原材料を海外から仕入れているため、主たる製造会社には見えない構図になっている。実はこの図は東日本大震災で利用されたものだが、
1)3社購買で安心する買い手企業
2)末端に位置する主要な原料供給源を知らない買手企業
3)自然災害の発生する可能性のある地理上の供給元企業
ということがクローズアップされた。
本節のストーリーで行くと製造メーカーである買手企業が自社内で製造するよりも、外部購入の方が利便性があると判断した場合、社外のサプライヤーを調査研究し最低3社からの購入となる。この場合、3等分でないことが多いが、本節ではこの点には言及しないことにする。
ここでの注意点は
1)ティア1の製造状態、とりわけ生産管理体制と品質管理を監査し確認する。その場合忘れがちなのが何処から主材料を仕入れているか、である。仕入れ担当者と面談するのも良いが抜けることが多い。
2)ティア1は3社以上あるのが望ましいが一般には複数としている買手が多い。しかしながら、上図のように3社とも同一1社からの仕入れであることを見抜く鑑識眼が要求される。このケースではABCはお互いに競合であるから、当然各社の仕入元も知っているはずだが、ここは聞かないと言わない。
3)ティア3は外国に位置する企業であり、例え欧米系資本が入っていても所詮、新興国や途上国にてオペレーションされているローカル企業だ。この工場を管理監督するのは第一義的には外資系企業である。
第二義的には代理店や商社であるが、双方とも能力に問題はないかを見届ける必要があり、それは最終的に購買機能部門の役目である。最終ではあるが、最初でもあるべきだと筆者は考えている。