自然エネの割合が急上昇、今年4-5月には4.2%に

固定価格買取制度は、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5種類による自然エネルギーを電気事業者が固定価格で買い取る制度で、2012年7月1日に開始した。

自然エネルギー財団が発表したディスカッション・ペーパーでは、これまでの固定価格買取制度の成果として、自然エネルギーの急増や自然エネルギーの普及による便益の増加、急速に低下する太陽光発電のコスト――などを挙げている。

制度開始以降、太陽光を中心に急速に自然エネルギーの導入量が増え、2013 年度には 719 万 kW が稼働を開始した。これは、固定価格買取制度導入前の 2011 年度の年間導入量 155 万 kW の 4.6 倍に相当する。

この結果、2013年度末の自然エネルギーの累積の総設備容量は、2918 万 kW に達したと推定される。

太陽光発電の導入コストは3~4割低下しており、2016年には家庭用電気料金より安くなる可能性が見えてきたという。

さらに、同財団は、制度開始後に導入された自然エネルギーが火力発電の増加を抑制し、2013年度の燃料費削減効果は、最大3257億円(石油換算)に上ると試算している。雇用創出効果は約28万人と推定する。

一方、自然エネルギー政策の課題として、太陽光以外の自然エネルギーの拡大が進んでいないことや風力発電の停滞、系統連系問題――などが指摘されている。

価格競争力の高い風力発電の年間導入量は、固定価格買取制度の開始後に減少。制度開始に前後して行われた補助金廃止、建築、環境面の規制強化などが原因と考えられている。

系統連系の問題も大きい。発送電分離の行われていない日本では、電力会社が系統運用を行っており、公平な系統への接続の確保が重要である。だが、現状では、すでに系統連系の制限が始まっており、普及の足かせになっている。

同財団は、「電力会社から提示される連系のための工期の長期化や高額な工事費により、事業の採算がたたず連系できないケースも多々ある」としている。

◆ディスカッション・ペーパー「固定価格買取制度2年の成果と自然エネルギー政策の課題」

http://jref.or.jp/images/pdf/20140818/20140818_FIT.pdf

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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