記事のポイント
- 渋谷や恵比寿など都会で、生ごみを堆肥にして農園などの緑づくりを進める
- 担うのは「循環型コミュニティガーデン協会」で、福岡で実績を積んでいる
- 2030年までに全国の政令指定都市で1500カ所の展開を目指す
渋谷や恵比寿などの都会で、生ごみを堆肥にして農園などの緑づくりを進める。担うのは、10月30日に発足した循環型コミュニティガーデン協会で、すでに福岡などで実績を積んでいる。2030年までに全国の政令指定都市で1500カ所に展開することを目標に掲げる。(オルタナ副編集長=北村佳代子)
循環型コミュニティガーデン協会を設立したのは、バッグ型の生ごみコンポストを手がけるローカルフードサイクリング社(福岡県福岡市)や、渋谷や恵比寿などで850人とコミュニティガーデンに取り組む特定非営利活動法人アーバンファーマーズクラブ(東京・渋谷)など、計8団体(下部参照)だ。
「循環型コミュニティガーデン」は、2つの要素で成り立つ。一つは地域に住む個人やグループ、事業者などが集まって、空き地や商業施設、ビルの屋上などのオープンスペースで野菜や花を育てる「コミュニティガーデン」。もう一つは、コンポストや雨水の利用、環境に配慮した農法といったサステナブルな方法だ。
楽しむことを中心においた循環型コミュニティガーデンで、地域の人同士がつながり、互いに学び、行動し、強く柔軟な地域コミュニティと持続可能な社会をつくる。そして都市部からも生物多様性を広げていくことを目指す。
この取り組みは、農林水産省の令和6年度農山漁村振興交付金の対象事業に採択された。
■都会の企業も参加しやすく
すでに福岡市では、地域や企業、学校や老人クラブなどのコミュニティに開かれた複数の農園が運営を始めている。
「環境やごみの減量・資源循環に興味のなかった多くの人が、コミュニティガーデンを中心に、違う入り口から循環の環に入ってきた」とローカルフードサイクリングの平由以子代表は実績を紹介する。
福岡市ではこの取り組みに参画する企業も出てきた。
博多大丸は10月、大丸福岡天神店に循環型コミュニティガーデンを開設した。社員食堂から出る生ごみを堆肥化して活用し、ハーブや野菜を育てる。そこで育てたハーブや野菜は、同社がパタゴニア福岡との連携で展開する資源循環の啓発イベントなどで活用するという。
平代表は、「まずは都市部でも、菜園やハーブなど、少量でも良いので自分で育てる楽しみを体験していただきたい。地域内でコミュニティガーデンを増やし、それでも循環できない堆肥は農家連携という形を模索する」という。
そして「将来的には環境の保全や回復に貢献するグリーンジョブの創出にもつなげていきたい」と意気込みを語った。
<運営団体>
・ローカルフードサイクリング 株式会社
・特定非営利活動法人 アーバンファーマーズクラブ
・特定非営利活動法人 Green Works
・特定非営利活動法人 循環生活研究所
・EARTHWORKER 合同会社
・特定非営利活動法人 Green Connection Tokyo
・一般社団法人 エディブル・スクールヤード・ジャパン
・武蔵野大学工学部サステナビリティ学科 明石修研究室