記事のポイント
- アゼルバイジャンのCOP29で、化石燃料からの脱却が議論されている
- その裏で、COP29事務局長が国営石油会社への投資を促した疑いがある
- 国際NGOグローバル・ウィットネスがが潜入捜査で明らかにした
国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が11月11日にアゼルバイジャンの首都バクーで開幕した。化石燃料からの脱却を議論する裏で、COP29事務局長を務めるアゼルバイジャンのエネルギー副大臣が、国営石油会社への投資機会について話を進めようとしていたことが分かった。国際NGOグローバル・ウィットネス(本部ロンドン)が潜入捜査で明らかにした。(オルタナ副編集長=吉田広子)
COP29議長国であるアゼルバイジャンは、石油やガスが豊富な資源大国だ。天然ガスを脱炭素社会に向けた「移行燃料」と位置付け、増産を計画する。
COP29 の事務局長を務めるエルヌル・スルタノフ・エネルギー副大臣は、アゼルバイジャン国営石油会社(ソカール)の監査役会メンバーでもある。ソカールは国営だが、一部を民営化する計画がある。
グローバル・ウィットネスの報告によると、架空の投資会社がCOPスポンサーになる可能性を示唆しながら、スルタノフ副大臣にソカールへの投資機会について尋ねた。それに対し、スルタノフ副大臣は、ガスの増産計画や合弁事業の立ち上げなどについて言及し、ソカールとつなぐことを約束した。
近年、化石燃料に関連する企業がCOPに参加し、気候変動交渉に影響を与えていることが問題になっている。「キック・ビッグ・ポリューターズ・アウト」(KBPO)の分析によると、2023年に開かれたCOP28の参加登録者84000人のうち、化石燃料ロビイストの数は少なくとも2456人に上ったという。
グローバル・ウィットネスは、「COPを石油・ガス取引を促進する場として利用するという行為は、COP を単なる国際ビジネス会議、つまり石油・ガス部門への投資を呼び込む機会とみなす新興石油国家の戦略の一部だ」と批判した。