記事のポイント
- テスラ創業者のイーロン・マスク氏はなぜEVを推進するのか
- EVを社会に広げながら、トランプ支持を表明し、多額の資金を献金した
- イーロン・マスク氏の原体験から、社会変革を目指す動機を推察した
EVで知られるテスラの勢いが止まらないと思っていたが、実はテスラというメーカーのことではなく、テスラを率いるイーロン・マスク氏の常識外の動きに驚いている。世界があっと驚いたの米国の大統領選挙で何のためらいもなくトランプ支持を表明し、多額の資金を献金したことだ。(自動車ジャーナリスト=清水 和夫)
イーロン・マスク氏はネット通信の民主化のためにスターリンクを事業化し、ウクライナや能登地震でも利用されている。イーロン・マスク氏の行動を理解するには、こっちも常識をとっぱらう必要がある。
テスラは2003年にEVメーカーとして、2人の米国人によって創業された。テスラという社名はトーマス・エジソンに従事していたニコラ・テスラに由来するが、彼は交流電力の父と呼ばれている。
当時のEVメーカーには誰も興味を示さず、現在のEVブームの火種にもなっていなかった中、その企業に多額の資金を投資したイーロン・マスク氏は何を考えていたのか。
2010年ごろに日本でも市販されたロードスター(スポーツカー)を取材する傍ら、筆者はイーロン・マスク氏のヒトとしての才能に興味を持っていた。彼は、モデルSというハイエンドなセダンをリリースし、ポルシェをも驚かせた。
その後の躍進は目を見張るものだが、将来EVブームとなるか分からない時代に、EVベンチャーに投資するなど、その先見性には驚くばかりだ。だが、テスラの関係者を取材する中で、イーロン・マスク氏がなぜEV社会を目指したのか、その動機が理解できるようになった。
■再エネでの「社会変革」が狙いか