「(新)CSR検定3級試験 想定問題と解説」を発表しました

■問題11
江戸時代の近江商人の家訓である「三方よし」の意味に含まれないのは、次のうちのどれか。

ア. 売り手よし
イ. 買い手よし
ウ. 子孫よし
エ. 世間よし

正解・・・ウ
解説:この問題もチャプター2-1「企業とは社会においてどんな存在か」からの出題です。三方良しは「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」なので、「子孫よし」が含まれないことになります。

■問題12
ステークホルダーに関する次の記述のうち、正しいものはいくつかあるか。

1. ステークホルダーとは、組織の何らかの決定または活動に利害関係をもつ個人またはグループである
2. 株主、顧客、消費者、従業員、政府・行政機関、金融機関、債権者、競合企業、地域社会、NGO/NPOなどがステークホルダーに含まれる
3. ステークホルダー・エンゲージメントとは企業が社会的責任を果たしていく過程において、相互に受け入れ可能な成果を達成するために、対話などを通じてステークホルダーと積極的にかかわりあうプロセスである
4. CSRにおいて自社が優先的に取り組むべき重要事項を特定する際にも、社内検討だけで重要性を決めるのではなく、ステークホルダーの声を聴くことは重要である。

ア. 1つ
イ. 2つ
ウ. 3つ
エ. 4つ

正解・・・エ
解説:この問題はチャプター2-3「企業にとってステークホルダーとは何か」からの出題です。1と2は38ページ2段落目にある通り、3は39ページ4段落目にある通り、4は38ページ6段目にある通り、それぞれ正しい記述です。よって正解はエとなります。

■問題13
社会における企業の位置づけに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

ア. 企業の規模が大きくなり、グローバル化しており、それに伴い、企業が環境や社会に及ぼす影響も増大している
イ. 企業が社会に及ぼしている負の影響としては、環境汚染物質の排出、熱帯雨林の減少、適切な雇用形態がとられないという人権や労働の問題などがある
ウ. ISO26000では、社会的責任を「組織の決定及び活動が社会及び環境に及ぼす影響に対して、透明かつ倫理的な行動を通じて組織が担う責任」と定義している
エ. 企業の責任は自社の操業に伴う範囲にとどまるが、実際には調達先企業による資源採掘時や消費者による商品使用時にも環境や社会に負の影響を及ぼしている可能性がある

正解・・・エ
解説:この問題はチャプター2-2「社会における企業の役割はどう変わってきたか」からの出題です。アは36ページ3段落目にある通り、イは36ページ4-5段落目にある通り、ウは37ページ3段落目にある通り、それぞれ適切です。エは、37ページ5段落目にある通り、企業の責任は自社の創業に伴う範囲にとどまらないので、不適切です。

■問題14
消費者を重視する経営に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

ア. 消費者庁は高度経済成長期に設立されていたが、消費者基本法が2004年に制定されるまでは、日本の消費者行政はあまり進展してこなかった
イ. 消費者基本法が制定される前から、日本の消費者政策は先進国の中でも先進的であった
ウ. 消費者基本法には、国や地方公共団体の責務が規定されているのであって、事業者の責務は規定されていない
エ. 企業は、消費者の権利を尊重することが求められている

正解・・・エ
解説:この問題はチャプター2-5「消費者重視の経営とは何か」からの出題です。アは消費者庁の設立は2009年なので不適切。イは42ページ3段目にある通り、日本における消費者政策は先進国の中でも遅れていたので不適切。ウは、43ページ4段落目にある通り、事業主の5つの責務が明示されているので不適切。エは43ページ4段落目にある通り、適切です。

■問題15
トリプルボトムラインに関する次の説明のうち、最も適切なものはどれか。

ア. トリプルボトムラインとは、企業は監督官庁による規制、市民社会からの摘発、自然資源の枯渇という3方面からの制約下に置かれていることを意味している
イ. トリプルボトムラインとは、企業は利益の3%を社会への貢献に用いるべきである、という意味である
ウ. トリプルボトムラインとは、企業経営を行う際に、環境的側面、社会的側面、経済的側面に配慮したバランスの良い経営を行うことを意味している
エ. トリプルボトムラインとは、企業は株主・社員・社会に貢献すべきであることを意味している

正解・・・ウ
解説:この問題はチャプター2-6「トリプルボトムライン」からの出題です。46ページ1段落目にある通り、トリプルボトムラインについての記述はウが正しく、他の3つは間違いです。

■問題16
世界における社会的課題に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

ア. 急速にグローバル化が進む中で、児童労働や、低賃金労働に代表される労働人権問題などが、開発途上国を中心に露呈している
イ. 現代は、企業活動が巨大化し、地球環境や社会に多大な影響力を持つに至っている
ウ. 食料安全保障や格差拡大は、開発途上国だけの社会課題である
エ. 企業が取り組むべき社会的課題を特定するにあたっては、自社の事業の強みとの関連性や事業を行う地域の課題、バリューチェーンにおける重要性などを勘案すると良い

正解・・・ウ
解説:この問題はチャプター2-7「世界や日本国内にはどんな社会的課題があるか」からの出題です。アとイは48ページ1段落目にある通り、エは49ページ3段落目にある通り、それぞれ適切です。ウについては、開発途上国だけでなく先進国にとっての課題でもあるので、不適切です。

■問題17
日本における特徴的な社会課題として、最も不適切なものはどれか。

ア. 森林の減少
イ. 介護問題
ウ. 少子高齢化
エ. ジェンダー格差

正解・・・ア
解説:これは49ページの表からの問題です。日本では森林資源量は増え続けているので、アが不適切となります。

■問題18
コンプライアンスとCSRに関する次の説明のうち、最も不適切なものはどれか。

ア. CSRは「企業の法的義務とはされていないこと」という見解が昔からあるが、これは今でも広く認められている
イ. コンプライアンスの語義は、「何かの要望に応えること」であるが、「何か」の中には、特別に法律が義務付けているわけではなく、また倫理的に問題があるわけではないが、企業が自らやると決めて宣言したことを実行することも含まれる
ウ. コンプライアンスを考える際、労働者や消費者、投資家などの各ステークホルダーの要望事項を知ることは重要である
エ. 法律は、ある立場の人々からの最低限の要望だと整理することができ、企業経営を考える際には関連する法律の背景情報まで理解することが重要である

正解・・・ア
解説:この問題はチャプター1-5「コンプライアンスの本質」などからの出題です。
イは20ページ3段落目の記述から、ウは41ページ3段落目の記述から、エは20ページ5段落目の記述から、それぞれ適切です。アについては、CSRが法令遵守を含む以上、法的義務となるので、不適切といえます。

■問題19
企業の社会貢献に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

ア. 企業の社会貢献活動が、自社の利益につながるようなことがあってはならない
イ. 企業の考え方とNPOの考え方は基本的に異なるので、企業とNPOが協働することはできない
ウ. 少子高齢化が進み、公益を税収に頼って済む時代は過ぎたが、企業からNPOへの寄付がそれを十分に補っている
エ. どのような社会貢献に取り組むのかは、自社の業態や特色などが生かせる社会課題の特定や、それが企業価値につながるか、というような視点で検討すると良い

正解・・・エ
解説:アは、社会貢献活動が企業の利益につながることはあってよいので不適切。イは企業とNPOは実際に多くの協働の事例があるので不適切。ウについては、日本では企業からNPOへの寄付は十分とは言えないので不適切。よって、エが適切となります。

■問題20
企業にとっての人権に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

ア. 「本来、人間はそれぞれ違っているのだ」「お互いを大切にしよう」。これが人間社会の出発点である
イ. 国連の「人権の保護、尊重及び救済の枠組み」によると、政府には国民を第三者による人権侵害から保護する義務があり、企業には企業行動のあらゆる局面で人権を尊重する責務、そして容易にアクセスできる救済手段の確立が求められている
ウ. 企業が配慮すべき人権としては、各国の法律に定められている事項を遵守すれば足り

エ. 現代では、人権尊重への取り組み強化が企業の重要な社会的責任となっており、人権の国際基準を社内方針に制度化することが望まれている

正解・・・ウ
解説:この問題はチャプター2-9「企業と人権」からの出題です。アは54ページ1-2段落目の記述の通り、イは54ページ6段目の記述の通り、エは55ページ4段目の記述の通り、それぞれ適切です。ウについては、各国の法律だけではなく、国連「保護、尊重及び救済の枠組み」など、国際的な取り決めを守る必要があるので、不適切となります。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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