フランスのエコプロ展を見に行った。[小林 光]

アクセス、会場のレイアウトなどで気づくこと

アクセスなどの面を見ると、仏版エコプロ展は、我が国よりはやや不便であった。リヨンの中心駅(二つあるが)のパール・デュウから、路面電車で約15分の駅でさらに国際展示場行きバスに乗り換えてまた15分である。待ち時間を考慮すると1時間近い移動距離であった。

しかしながら、良いところもある。それは、国鉄の中心駅にも人が詰めたガイドボックスがちゃんと置かれ、そこで、会場への案内はもちろん、全行程の切符なども売られていることである。その切符は、2.5ユーロで、会場往復どころか1日にわたり市内交通が乗り放題になるもので、これはお買い得と言うほかはない。

実は、リヨンは、フランス政府からエコ・カルティエの認定を受けるなど、環境に力を入れている。それは、かつて、各種の工場が立地した工場都市であって、PCBによる河川の汚染をはじめ公害に悩んだ経験があったことも背景にしている。

そこで、バスや地下鉄はもとより、道路を路面電車の線路に大胆に転換していて、近代的な路面電車が各所に走っている。会場以外でも、このような真剣な都市改造の取組みが見られるのは、リヨンの強みであろう。

翻って日本は、オリンピックの時に、街に組み込まれた環境取り組みを見せられるのだろうか、訪れる外国人の目にはどう映るだろうか、と少し心配になった。ゆりかもめだけではさびしいことは否めない。

会場は、主に平屋建てで、広さは、約10万㎡と、我が国のエコプロ展が使っている面積よりは倍程度広い。一つ一つの出展者の持ちスペースも日本よりはやや広いのが標準的であった。ただ出典社・団体数だけ見ると、2300社・団体と数が多い。数え方が日本とは違うのかもしれない。それでも日本にはある、小さいごみごみした展示スロットはなかった(ただし、これがあるからNGOなども出店できるので一概に批判するものではない)。

会場のレイアウトは、図のとおりであって、大きく6つに区分されていた。正面から向かって左側が都市清掃、廃棄物処理、リサイクル関係、正面が、総合的なもので、自治体の取組みやエネルギー、そして持続可能な都市づくりなどに充てられていた。

また向かって右側は、大気汚染や水質汚濁処理などの伝統的な公害対策ビジネスに加え、ポンプやパイプなどにも力が入れられ、それ以外にも、新物質・新素材のコーナーも設けられていた。

会場配置図
会場配置図
hikaru

小林 光(東大先端科学技術研究センター研究顧問)

1949年、東京生まれ。73年、慶應義塾大学経済学部を卒業し、環境庁入庁。環境管理局長、地球環境局長、事務次官を歴任し、2011年退官。以降、慶應SFCや東大駒場、米国ノースセントラル・カレッジなどで教鞭を執る。社会人として、東大都市工学科修了、工学博士。上場企業の社外取締役やエコ賃貸施主として経営にも携わる

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