[映画評]国家の視点では見えない、家族の歴史「ふたつの祖国、ひとつの愛」

日本と韓国は今、「歴史認識」をめぐり政治的な緊張が高まる。しかしこの夫婦は、日本統治時代から二度の戦争を経てもなお、民族の違いを乗り越えて、家族の愛と信頼を育んでいた。イ・ジュンソプと山本方子が歩んだ人生は、国家の歴史の視点では見えてこない、まさに「民衆史」の一断面だろう。

イ・ジュンソプの代表作「黄牛」 © 2013天空/アジア映画社/太秦
イ・ジュンソプの代表作「黄牛」 © 2013天空/アジア映画社/太秦

二人を引き裂いたのは戦争であり国家間の対立だった。そこでは貧困や無理解、孤独などが人生に立ちはだかる。国同士の緊張、格差拡大、巨大災害など、社会が不安定さを増す今、本作品は暗示的なメッセージを含んでいるようにも見える。

東京・東中野のポレポレ東中野で上映中。酒井監督とのトークゲストとして文化センター・アリラン副理事長の宋富子氏(20日)、タレントのセイン・カミュ氏(21日)、俳優で文化座代表の佐々木愛氏(1月10日)の登壇が予定されている。

映画「ふたつの祖国、ひとつの愛」公式サイト

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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