記事のポイント
- 災害備蓄用品を届けるサービス「デイリーストック定期便」が始まった
- サービスは、クラダシとデイリーストックアクションが共同で開発した
- 日常でも使える常温食品が定期的に届くことで、継続的な備えが可能に
クラダシ(東京・品川区)と一般社団法人デイリーストックアクション(東京・世田谷区)は1月22日、災害備蓄用品を定期的に届けるサービス「備えて【Kuradashi】デイリーストック定期便」を始めた。従来の非常食と異なり日常使用も可能な常温食品が中心で、2ヵ月に1度定期的に届く仕組みによって継続的な備えを可能にする。(オルタナ副編集長=長濱慎)

■無理なくできるローリングストックを目指す
クラダシは「日本で最もフードロスを削減する会社」をビジョンに掲げる。賞味期限が近づいたり規格外になったりした食品を約1900社のパートナー企業から仕入れて販売し、売上の一部を社会貢献団体の支援に活用する。2022年にBコープ認証を受け、23年6月に東京証券取引所グロース市場へ上場した。
毎年9月1日の「防災の日」には、防災対策関連商品の認知拡大とフードロス削減を結びつけたキャンペーンも行ってきた。
デイリーストックアクションは東日本大震災の被災地支援を機に、家庭用食料備蓄の推進を目指し2018年に発足した。在宅避難に特化し、日常生活の中でできる食料備蓄の啓発に取り組む。「楽天レシピ」公式ファンページの登録者数は7万人を超える。
2者共同の新サービス「備えて【Kuradashi】デイリーストック定期便」は、日常的に使いつつ災害備蓄用も兼ねる常温食品を2ヵ月に1度届ける。食品はクラダシのパートナー企業から仕入れた中からストックに適したものを選定し、セット販売する。

政府は食料を多めにストックし、使った分だけ買い足すことで一定量を備蓄する「ローリングストック法」を奨励する。しかしスペースの問題などで継続が難しく、実施率は20%程度という調査結果もある。そこで「デイリーストック定期便」は日常消費も可能な食料を定期的に届けることで、取り組みの定着を促す。
■80%以上を占める「在宅避難」が対象
在宅避難を対象にしている点も特徴だ。一例として、東京都では人口約1400万人に対して避難所の収容人数は320万人。地震などの大規模災害が起きた際には80%以上が在宅避難になり、避難所での使用を前提とした防災リュックよりも家庭用ストックの需要の方が多いと予想される。
クラダシの平岡裕司ブランド事業部部長は、こう話す。「取り組みを日常的にすることが、そのまま大規模災害への備えにつながる。本サービスは地震に限らず、台風や大雨、風邪やインフルエンザで外出が難しいといった、大小さまざまな日常の『もしも』に備えられる」
デイリーストックアクションの池上紗織代表理事は、こう続ける。「食料をストックすることで在宅避難した人々に余裕が生まれれば『助ける側』に回ることができる。東日本大震災でも、在宅避難組が炊き出しを行うなどして助け合いの一翼を担った。被災地では『常温食はお裾分けもしやすくて便利』という声も上がった」
阪神淡路大震災から30年。南海トラフや首都圏直下をはじめとする地震、気候変動の影響により頻発する大規模風水害など災害への備えが求められる中、注目される取り組みになるだろう。