オルタナ総研統合報告書レビュー(31): JTBグループ

記事のポイント


  1. JTBグループはDEIBを「経営戦略」としている
  2. 市場の多様化と急速な変化に対応する組織風土改革のため
  3. ジェンダー平等に向けたアンコンシャスバイアス除去研修などを実施

JTBサステナビリティレポート2023の「ダイバーシティ」には、多様な人財が個々に輝ける企業風土に向けて、Diversity・Equity・Inclusion・Belonging(DEIB)が記されています。同社では、DEIBを市場の多様化と急速な変化に対応すべく、様々な価値観や働き方を取り入れて企業価値を高める「経営戦略」と位置づけています。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

JTBサステナビリティレポート2023

同グループはJTBグループダイバーシティ推進基本方針に基づき、組織における多様性の獲得と尊重、一人ひとりが個性を発揮するための能力開発の推進や阻害要因の除去、個々の力を掛け合わせ組織の強みにする為のコミュニケーションを促す組織風土改革を進めてきました。

2023年4月からは従来のダイバーシティ&インクルージョンの実践に、エクイティ(Equity)=“公正(公平)性”と、ビロンギング(Belonging)=“帰属性”の観点を加えた「DEIB」を推進していくことで、より多様な個性が輝くJTBグループへと進化し、新たな価値創出による持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。

同社は、多様(Diversity)であることそのものの大きな力が発揮され価値を生み出していくためには、個々人の違いによる能力を掛け合わせたり、機会を創出したりすることで、多様な人財が個々に輝ける土台を作っていくこと、すなわちエクイティ(Equity: 公正(公平)性)が必要だと考えています。

また、社員一人ひとりが“自分自身のまま”で居られ、組織やグループ、何らかのテーマの一員として居場所があると感じられること-ビロンギング(Belonging: 帰属性)が、より高いエンゲージメントの醸成とより良いパフォーマンスを発揮するためには大切なことだと考えています。

DEIB推進強化の具体策として、次の5つの施策に取り組んでいます。

1.「JTB社員意識調査」を活用した組織風土改革
2.「JTB Group WORK Style」の定着に向けたワークスタイル変革の推進
3.「JTBセルフキャリアドック」(キャリアコンサルティング面談・各種研修)によるキャリア開発支援の実施
4.「JTBグループ障害者雇用理念」の具現化
5.ジェンダー平等に向けたアンコンシャスバイアスを取り除き自身にプラスαの要素を取り入れることを目的とした「プラスフォーラム」やマネジメント向け「DEIB研修」

次回の統合報告書では、上記5つの施策について、進捗状況と課題について開示されたらいかがでしょうか。

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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キーワード: #サステナビリティ

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