記事のポイント
- 「健康経営優良法人2025」に申請した中小企業が2万社を超えた
- 人材確保や企業価値の向上のため、中小企業での取り組みが進む
- 健康経営の推進で重要なポイントは、「経営トップのコミットメント」だ
「健康経営優良法人 2025」に申請した中小企業が2万社を超えた。前回24年から約3000社が増加し、過去5年では3.3倍まで増えた。人材確保や企業価値向上のため、働きやすい環境を整備する動きが中小企業にも広がっている。健康経営の推進に当たり、特に重要なポイントは「経営トップのコミットメント」だ。(オルタナ編集部=松田 大輔)
「健康経営」では、社員の健康に配慮した経営によって、生産性や社員のエンゲージメントを向上することを目指す。経済産業省は2016年度に「健康経営優良法人認定制度」を創立した。
特に中小企業の申請数が顕著に伸びており、2025年の申請社数は初めて2万社を超えた。前回から約3000社が増加し、過去5年では3.3倍まで増えた。中小企業は母数が大きいため、今後の伸びしろも期待される。

人材確保や企業価値向上のために、働きやすい環境を整備する動きが中小企業にも広がっている。健康経営優良法人認定事務局によると、健康経営の実践は採用活動に効果があるとともに、離職率の低下にもつながっているという。

医薬品などを手がける丸善製薬(広島県尾道市)は、2023年から2年連続で「中小規模法人部門」で認定された。道免亜登夢・管理本部・総務部部長は、「社員の健康は、会社の健康」と話す。
「社員が健康で働き続けることは、安定した事業運営につながり、結果として高品質の製品を送り出すことができる」(道免氏)
認定を受けるには、定期健診やストレスチェックなどの徹底が前提となる。そのうえで、従業員の健康課題の把握や、メンタル不調者への対応を実施するとともに、そうした取り組みへの効果検証や継続的な改善も求められる。
健康経営の推進に当たり、特に重要なポイントは「経営トップのコミットメント」だ。同事務局によると、健康経営が総務部や人事部の業務になるケースも多い。だが、社内浸透や定着を図るためには、トップが経営課題として取り組み、社内外で発信することが欠かせない。