ベルギーでは翌15日、およそ1000人がティアンジュ原発を目指し、冷却塔を背後に建ち並ぶ住宅街を行進。キャンピングカーで来たという、前日のデモで見かけたドイツ人も数人いた。半数以上は、隣接国オランダ、ドイツ、ルクセンブルク、フランスからの参加者だった。

このティアンジュとドール原発では、あわせて1万ほどのひびが圧力容器に見つかり、2012年に一旦停止。2013年春に原子力規制当局の長が「101%安全」とお墨付きを与えて再稼動したものの、昨年春安全対策のために再停止していた。

規制当局は、ひびの総数を1万6000に上方修正し、大きさを最大2.4cmから9cmに訂正したばかりだが、事業者エレクトラベルは今年7月の再稼動を目指している。

両原発の問題はひびだけではない。2011年3月11日以降も、それぞれで稼動停止させるほどの事件が発生した上、EUストレステストによると航空機墜落に備えた安全対策がないという。

とりわけ、洪水・地震対策の不備も指摘されているティアンジュは、ドイツとの国境から65kmしか離れておらず、風下に位置するボンやケルンなどの大都市や、自然保護地帯に点在する自治体の「緑の党」支部はバスを6台提供。筆者も利用することができた。また、ドイツの「左派党」はバス2台を提供し、オランダの都市を経由してきたという。

■「物事に対する監視の目」が必要

地元の住民たちは日曜日の午後、仏独蘭3カ国語が入り混じった脱原発スローガンや旗の行列をどのような思いで眺めていたのだろうか。

ドイツ国際放送から取材を受ける橋爪さん(ベルギー)

ドイツ国際放送から取材を受ける橋爪さん(ベルギー)

この2日間両国のデモに参加した福島県いわき市出身の橋爪亮子さんに、感想を尋ねてみた。13年前カナダに移住した橋爪さんは、原発震災後「絆ジャポン」を立ち上げ、福島の子どもたちへの支援や核に関する情報発信などを行っている。

「原発推進国カナダでは、脱原発デモのことを聞いたことがありません。のどかで祭りのような雰囲気の中で、参加者の表情には確固たる意志が見られ、人の意識は日本やカナダとどう違うのか、どう国を動かすのかと考えながら歩きました。特に脱原発を決めたドイツでは、ナチスの台頭を許した状況を徹底的に検証したことから、物事に対する監視の目が養われていると感じます。ジャーナリズムが健在でタブーのない自由な論議が行われ、市民団体などが自由に活動できる土壌、福島で起きていることを、対岸の火事ではないと認識できる土壌があると思いました」 

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