その紙容器のバリューチェーンは、非常にユニークです。テトラパックは、顧客に紙容器の充填包装システムを提供する際に、食品加工と包装の専門家チームを派遣し、顧客の工場の操業状態を検証、工場への製品の出入りや流れ、製造目標、輸送スケジュール、障害や機器の故障の原因、廃棄率などを詳細に調査し、無駄を排除する最適なシステムの導入を勧めます。
導入にあたっては、専門家による顧客企業の社員の訓練、継続的なモニタリングと必要に応じたグレードアップなどを提供します。こうしたムダのないプロセス構築を通じて顧客との関係を強化することは、バリューチェーンのCSVと言えます。
また、テトラパックは、新市場の展開において、ビジネス環境のCSVも展開しています。テトラパックは、容器パックの用途として最も重要なものの1 つである牛乳の需要をつくり出すため、世界各国で、政府機関、NPO、地元の乳業・酪農業者と連携して、学校給食(Food for Development)プログラムを展開しています。
このプログラムにより、各国で、「牛乳を飲む世代」をつくり出し、各国児童の栄養状態の改善に貢献するとともに、テトラパックと顧客のビジネスを切り拓いています。
例えば、中国では、子供たちに学校で牛乳を飲ませる利点を栄養学的視点から家族や教師に指導しているほか、「乳製品学校」などで酪農家を教育し中国で生産される原乳の品質を向上させるなどの活動を実施しています。
なお、学校給食プログラムは、途上国において、児童の栄養状態の改善に加え、現地で製品を製造するサプライチェーンを築くことにより、地元の雇用を創造し、地元経済の活性化にも貢献しています。
このように、3つのCSVを統合的に推進することにより、効果的に新しい市場を創造することができます。
(この記事は、株式会社オルタナが2014年11月5日に発行した「CSRmonthly 第26号」から転載しました)