電力自由化でドイツの専門家「できることから始めよ」

■電気は「企業の質」でも選ばれる

日本では現在、電力小売自由化を前に「電源表示」の義務化を求める声が高まっている。これは、電力会社が「何によって発電した電気か」「発電でどれだけ廃棄物が生じたか」などを一般家庭などに向けてわかりやすい方法で開示するものだ。

ドイツでは05年にエネルギー事業法で電源構成等について明示することを義務化している。消費者はこれらの情報をもとに電力会社を選ぶことが可能だ。

レプリッヒ氏は「電気は均質な商品であり、ごまかしを防ぎつつ差別化を図るのは簡単ではない。一方、企業は均質ではないので、差別化は容易だ」と話した。さらに「電力小売をめぐる競争は、異なる電気の質だけでなく、異なる企業の質をめぐる競争でもある。電気に関する情報の開示と表示は、消費者が電気の質を選ぶ際の前提条件だ」と強調した。

日本での発送電分離の実施は5年後だ。ドイツの教訓を踏まえれば、電力小売自由化が来年実施されても、直ちに「電気を選べる」ようになるとは言い難い。それでも「電力市場の透明化など、(発送電分離に先行して)できることはある」(レプリッヒ氏)という。電源や環境負荷の表示義務化もそうした「できること」の一つと言えるだろう。

editor

オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..