経産省はなぜ今「ダイバーシティ経営」を打ち出したのか

記事のポイント


  1. 経産省は4月上旬、「ダイバーシティレポート」を公表した
  2. 企業価値向上につながるダイバーシティ経営の考え方などを示した
  3. 米国の状況を鑑みると、多様性を競争力の源泉とした本報告書の意義は大きい

経産省は4月上旬、「企業の競争力強化のためのダイバーシティ経営(ダイバーシティレポート)」を公表しました。第二次トランプ政権下の米国では公的DEI(多様性、公平性、包摂性)が後退しています。グローバルに多様性推進の姿勢が問われる中で、日本政府(経産省)が「多様性を競争力強化の戦略的資源」と位置付ける報告書を打ち出したことには大きな意義があります。(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家=遠藤直見)

経産省はダイバーシティ経営のインパクトを社内外4分類に整理した 出典:経産省ダイバーシティレポート

経産省のダイバーシティレポートは、取締役会や経営陣に向けて、企業価値向上につながるダイバーシティ経営の考え方や具体的取組についてまとめたものです。

経産省は、「多様な人材をいかし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」をダイバーシティ経営と定義し、企業の取組を推進しています。

グローバルな経営環境や労働市場の人材供給のあり方が大きく変化しています。そうした社会では、同質性が高い組織は変化への柔軟な対応力に乏しく、自社の価値観や戦略を現状維持に留めがちであるという課題があります。

企業には同質性が高い状態から脱却し、多様な知識や経験を持つ人材が活躍することができる環境の整備が求められています。同時に、多様性を尊重する組織文化の構築を進めることも重要です。

このような「多様性を活かすマネジメント」を通してイノベーションを生み出し、価値創造につなげていく経営が「ダイバーシティ経営」です。その具体的な取組内容は、企業が置かれた事業環境や直面する戦略課題によって異なり、各企業の状況に応じた柔軟な対応が必要です。

公平性と包摂性があって、多様性が生きる
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遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

東北大学理学部数学科卒。NECでソフトウェア開発、品質企画・推進部門を経て、CSR/サステナビリティ推進業務全般を担当。国際社会経済研究所(NECのシンクタンク系グループ企業)の主幹研究員としてサステナビリティ経営の調査・研究に従事。現在はフリーランスのサステナビリティ経営研究家として「日本企業の持続可能な経営のあるべき姿」についての調査・研究に従事。オルタナ編集委員

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キーワード: #ジェンダー/DE&I

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