記事のポイント
- 同性婚・夫婦別姓いずれも与党で判断が割れた
- 自民は同性婚・夫婦別姓双方で消極的、パートナーシップ制度にも「慎重な検討が必要」
- 公明党と野党7党は夫婦別姓を推進、同性婚も国民民主除き賛成
第27回参議院議員通常選挙の投開票が、7月20日に行われる。参院の定数248のうち、半数124を入れ替える選挙を実施する。今回は東京選挙区の非改選欠員1(任期3年)を加えた計125議席を争う見通しだ。投開票を前に、オルタナ編集部は各政党のサステナビリティ領域の方針を、3回に分けてまとめた。3回目は同性婚・夫婦別姓に対する各党のスタンスについて紹介する。(オルタナ編集部=萩原 哲郎)

■同性婚で与党は対応割れる、野党5党は賛成
同性婚の法制化をめざす「MarriageForAllJapan‐結婚の自由をすべての人へ」(マリフォー)は各党の同性婚に対するスタンスについてアンケート調査を実施した。参政党と日本保守党を除く、国政政党8党から回答があり、その回答結果をこのほど公表した。
同性婚については全国で違憲裁判が提起されており、6件の裁判のうち5件の高裁判決で違憲判断がくだされた。26年には最高裁判決がでることが予想され、その結果が注目される。
アンケート調査では①同性婚法制化への党の立場②公約で同性婚が入っているか③いつ取り組むか④取り組み状況の4つを聞いている。
与党は賛否が別れた。自民党は政府と同様、憲法24条を根拠にした「同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されていない」という立場であること、加えて日本の3分の1弱の自治体が導入する「パートナーシップ制度」についても、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進が前提」として「その是非を含めた慎重な検討が必要」だとした。
一方、公明党は賛成の立場を示した。同党は党の公約のなかでも触れているとしたうえで、「累次の高裁判決による違憲判決を踏まえ、婚姻の平等実現に向けた法整備に取り組む」と踏み込む。
野党は回答した党のうち、国民民主党以外は「賛成」を表明。公約については、野党6党が「公約に入っている」とした。国民民主は自党の立場について、「パートナーシップ制度の拡充・法制化の検討や、戸籍変更要件の緩和など、性的指向・性自認(SOGI)に関する課題の解消に向けた法整備を進める」と回答したが、「賛成」とは明言しなかった。
取り組み状況について聞くと、自民党以外の7党が「取り組みあり」と答えたのに対し、自民党だけは「なし」と回答。消極姿勢が際立った。

■「夫婦別姓」も公明党含め7党積極的、自民は触れず/参政は反対
婚姻についてもうひとつの政策課題が「選択的夫婦別姓」だ。昨年の衆院選で少数与党となったことで、今年にはいり立憲民主党などが選択的夫婦別姓に関する法案を提出。継続審議となり、秋の臨時国会で再び議論する。この選択的夫婦別姓も与党の対応が割れている。
自民党はHPにて「参院選公約2025」ならびに「総合政策集Jファイル‐2025」を公開しているが、これらの公約のなかで「夫婦別姓」についての記述は見られなかった。一方、公明党は「2025参院選 重点政策」のなかで「個人の選択の自由と多様な家族のあり方を尊重する観点から…『選択的夫婦別姓制度』の導入を推進」することを明言する。
野党は立憲・国民・共産・れいわ・社民の5党は選択的夫婦別姓を推進する立場を表明。維新は夫婦別姓について「戸籍制度および同一戸籍・同一氏の原則を維持しながら、社会生活のあらゆる場面で旧姓使用に法的効力を与える制度の創設」を掲げた。
一方、新興政党の参政党は「日本の伝統的な家族観と子供が安心して育つ環境を守るため」と反対を明言。同性婚についても独自の主張を展開し反対した。
同性婚・夫婦別姓ともに与野党ではなく、保守/リベラルの対立軸が鮮明になった。