欧州議会は4月、企業持続可能性デューデリジェンス指令案(CSDDD)を採択し、人権や環境への悪影響を予防・是正するデューデリジェンスを義務化する方針を決定した。昨年12月の政治合意案が発表後、産業界の反発を受けて紆余曲折し、最終的に対象企業の基準が大幅に引き上げられる形で合意に至った。(認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長=潮崎 真惟子)
市民社会・NGOの反応としては採択されたことを歓迎しているものの、対象企業が7割近く削減されたとして批判的だ。小規模生産者等が自力でコストを負担してDDをすることは困難であり、支援が必要だという声も強い。
一方でサプライヤーとの取引打ち切りは「最後の手段」として責任ある方法でのみ行われるべきと明言されたことや、企業が守るべき人権として生活所得が組み込まれたことなどは高く評価された。
今回の採択を受けて人権NGOのヒューマンライツナウは4月、日本政府に人権DDの早期法制化を求める声明を発表した。日本でも人権DDの義務化を迫る声は更に高まりそうだ。