オルタナ総研統合報告書レビュー(42): しずおかFG

サステナ経営塾オンライン説明会

記事のポイント


  1. しずおかFGは、「地域の未来を創り出す総合金融グループを目指」す経営戦略を掲げる
  2. 経営戦略のうち、「地域共創戦略」は金融庁指針に準拠する
  3. 「トランスフォーメーション戦略」「新事業分野戦略」は経産省ガイドに拠る

しずおかフィナンシャルグループは、「地域の未来を創り出す総合金融グループを目指」し、経営戦略として、「地域共創戦略」「トランスフォーメーション戦略」「新事業分野戦略」を掲げています。これらの経営戦略は、金融庁指針や経済産業省ガイドラインに準拠しています。(オルタナ総研フェロー=室井 孝之)

しずおかフィナンシャルグループ統合報告書2024
しずおかフィナンシャルグループ統合報告書2024

しずおかフィナンシャルグループは、第1次中期経営計画(23~27年度)で「地域の未来にコミットし、地域の成長をプロデュースする企業グループ」を目指し、中計ビジョンとして「未来へつなぐ新たな価値を創造する課題解決型企業グループ」を掲げています。

同グループ統合報告書2024では、金融庁「地域密着型金融の推進のための監督指針」ならびに経済産業省「DX支援ガイダンス」に沿った経営戦略が記されています。

経営戦略のうち、以下の3つの「目指す姿」「取組課題」「背景」「準拠する指針・ガイダンス」は次の通りです。

①地域共創戦略  

目指す姿: 社会課題の解決を通じて地域を活性化し、新たな価値を創造

取組課題: 地域ごとの課題解決に向けたプラットフォームの形成、戦略の具体化、見える化

背景: 地域課題は多様化、地区毎に優先順位が異なるため、営業店においてOKR(O: 目的、KR: 成果指標)を設定している。地域企業や自治体、異業種企業等と連携するなど、当グループが持つネットワークを活用し、地域のハブとなって地域課題解決に向けた取組みを加速させている。

上記①は、金融庁が定めた地域密着型金融の推進のための監督指針」の基本的考え方である「地域密着型金融の目指すべき方向」を踏まえています。 

②トランスフォーメーション戦略 

目指す姿: 日常的な取引のデジタル完結、対面によるオーダーメイド型のソリューション提供 

取組課題: デジタル技術・データ等の戦略的活用による業務変革 

背景: 2024年3月、グループ全社員が日常業務の中で生成AIを活用できる環境を整備した。今後は生成AI 活用の高度化に向けて社内データとの連携や専門領域での活用に取組むとともに、グループ役職員のリテラシー・スキル向上を通じて、更なる業務の高度化・迅速化を図り、お客さまへの最適なサービスの提供につなげる。 

③新事業分野戦略 

目指す姿: 地域の社会課題解決を通じ、地域と同グループ双方の持続的成長を実現  

取組課題: 新たな事業領域への挑戦により、地域の魅力向上、活性化に貢献 

背景: 銀行法の改正に伴い、地域の持続可能性に資する事業であれば、金融分野以外の多様な事業を取り扱えるようになった。人手不足や販路拡大等、地域や取引先が抱える課題に対し、これまで法規制により取組めなかった事業領域にも挑戦することで、地域の魅力を高め、活性化・成長への貢献を目指す。 

上記②、③は、経済産業省が定める、地域金融機関が支援機関として、DX支援に取り組むべき「DX支援ガイダンス」に拠っています。 

また、同グループ統合報告書2024では、上記の経営戦略実現に向けた人財ポートフォリオの構築を、価値創造型人財、課題解決型人財、デジタル人財ごとにAs-isとTo-beの人数を示しています。次回の統合報告書では、2025年度のAs-isの進捗状況を開示されたらいかがでしょうか。 

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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キーワード: #サステナビリティ

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