記事のポイント
- 参院選が行われ、与党の歴史的敗退という形で幕を閉じた
- この選挙に先んじて6月には「地方創生2.0」が閣議決定されていた
- 「稼げる地域経済圏」を目指したものだが、日本の未来をつくるのか
先日、「日本の未来を占う」というキャッチコピーが躍った参院選が行われ、与党の歴史的敗退という形で幕を閉じた。この選挙の争点として、物価高や実質賃金の低迷、地方経済の衰退など、国民生活に直結する問題への対応力が各党に問われることになったが、それに先んじて6月には「地方創生2.0」が閣議決定されていた。地方に人材が還流・定着する「稼げる地域経済圏」を目指したものだが、日本の未来をつくることができるのか。(オルタナ総研所長=町井則雄)
「地方創生2.0」はそのビジョンをこう掲げた。「人口減少と生産年齢人口の低下に真正面から向き合い、若者・女性などが活躍できる魅力的な就業機会を創出し、地方に人材が還流・定着するような『稼げる地域経済圏』を形成することが重要である」。
このビジョンについて異論はないし、ぜひ進めて欲しいとも思う。しかし、何年前から同じことを言っているのかと問いたくなる内容であることも事実だ。
「地方創生」という言葉が政策として正式に使われるようになったのは、2014年に石破首相が初代地方創生担当大臣に任命された時からである。
それ以来、すでに10年以上が経過した。この時すでに東京への一極集中が加速し若者が地元を離れてしまうこと、地方都市が空洞化し地方経済が人口減少と共に縮小していくことなどが重要な社会課題として認識され、その課題解決を期待されたのが地方創生だった。
■若者や女性は地方で働きたいと思うか
■「多様な地方」が価値を持つ時代に
■50年には世界の人口の7割が都市部に集中も
■人が集まる条件は多様性よりも「ニッチ性」
■「地方創生2.0」が日本の未来を占う