記事のポイント
- 超ファストファッションのSHEINが、フランスに続きイタリアでも罰金を科された
- 同社のオンラインサイトでの環境主張が「グリーンウォッシュ」だと判断された
- フランス、イタリアでの罰金総額は日本円にして70億円に上る
イタリア競争当局(AGCM)は8月5日、ファストファッションのSHEIN(シーイン)に対し、オンラインサイト上の表現がグリーンウォッシュに当たるとして100万ユーロ(約1億7千万円)の罰金を科したと発表した。サイト上での環境の表現が、曖昧で、過度に強調し、誤解を招く、不正確な主張だったことを問題視した。SHEINに対しては今年7月に、フランス当局が、欺瞞的な商業慣行だとして4000万ユーロ(約68億4千万円)の罰金を科したばかりだ。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

(c) Photographer: Stephanie Keith/Bloomberg via Getty Images
SHEINをはじめとする超ファストファッション企業に対する批判は、年々高まりつつある。安価な合成繊維製品を過剰に供給することが、プラスチック汚染の危機を助長しているからだ。SHEINについては、ここ数年温室効果ガス(GHG)の排出量も増えており、環境NGOは、「SHEINが国なら、その排出量はレバノンと同規模」とも言われている。
(参考記事)アパレルブランドの環境取り組み評価、H&Mが2年連続トップに
■曖昧で過度に強調した誤解を招く環境主張にメス
イタリア競争当局(AGCM)は、SHEINのサイト上の広告表示について、誤解を招くおそれがあるとして2024年から調査を進めていた。
(参考記事)「SHEIN」がグリーンウォッシュの疑い イタリア当局が調査へ
AGCMの調査結果によって、SHEINのウェブサイトの「#SHEINTHEKNOW」セクションに記載された、製品の循環型設計やリユースの可能性に関する表現が、「虚偽もしくは、少なくとも誤解を招く」ことが判明した。
SHEINは、「evoluSHEIN by Design」シリーズの商品の宣伝に「グリーン」な繊維を使っていると広告していたが、製品のライフサイクル全体における環境へのメリットを明確に示していないほか、SHEINブランド全体に占める使用率がほんのわずかにしか過ぎないことを説明していなかった。
こうした主張は消費者に、同シリーズがあたかも持続可能な素材のみから製造されているような誤解や、製品が完全にリサイクル可能であるかのような誤解を与えかねず、またそれは現実を反映していないとAGCMは指摘した。
■フランス当局、「欺瞞的な商業慣行」と断じる
■SHEINについては人権問題も明らかに