記事のポイント
- ブリヂストンが世界ではじめて「タイヤtoタイヤ」の水平リサイクルに成功した
- タイヤはリサイクルが難しく、国内では8割以上が焼却される
- ENEOS、東海カーボンと共同で技術開発、2027年以降の社会実装をめざす
ブリヂストンはこのほど、世界ではじめて「タイヤtoタイヤ」の水平リサイクルに成功したと発表した。100種を超える原料で構成されるタイヤはリサイクルが難しく、国内では8割以上が焼却される。ブリヂストンはENEOSおよび東海カーボンと共同で、使用済みタイヤを原料レベルに戻し、新たなタイヤの原料に利用するケミカルリサイクル技術を開発。2027年以降の社会実装をめざす。(オルタナ副編集長=長濱慎)

ブリヂストンが取り組む水平リサイクルは、廃材を化学的に分解して原料に戻す「ケミカルリサイクル」に分類される。具体的には、使用済みタイヤを熱分解して合成ゴムとカーボンブラックに戻し、新たなタイヤの原料にする。
タイヤはゴム以外にもスチールや繊維など100種類を超える原材料で構成される。そのため単一素材でつくられるペットボトルなどに比べると、リサイクルは困難だ。これを熱分解して原料に戻すのは「焼き上がったお好み焼きから小麦粉や卵、キャベツを取り出すようなもの」で、技術的なハードルは極めて高い。
そのため国内では約85%が「サーマルリサイクル」の名目で焼却される。しかし、タイヤ原料の約半分は化石燃料由来のため、燃焼時にCO2を発生する。2050年には世界の自動車の保有台数が22億台(20年の約1.5倍)になるとする予測もある中、気候変動対策や資源循環のためにもリサイクルは不可欠だ。
ブリヂストンはパートナーとともに2021年に取り組みを開始。ブリヂストンが精密熱分解のプロセス設計を、ENEOSがオイル精製のプロセス設計を、東海カーボンがカーボンブラック再利用技術の開発を担う。

10月21日には、岐阜県関市で精密熱分解パイロット実証プラントが起工。プラントは26年末の完成をめざしており、27年から社会実装を見据えた検証に入る。
11月9日まで開催中の「ジャパンモビリティショー2025」(東京ビッグサイト)では、使用済みタイヤの熱分解で得た合成ゴムとカーボンブラックを使用したコンセプトタイヤを展示中だ。このタイヤは原料の85%をリサイクル材が占める。
タイヤにおける水平リサイクルの成功は、世界初(ブリヂストン調べ)だという。
10月30日の会見には、大月正珠・材料開発統括部門長が登壇し「今後も我々はパートナーとともにタイヤの水平リサイクルの社会実装を目指し、本気で技術開発などの取り組みを進めていく」と、意気込みを述べた。


 
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