記事のポイント
- 小田急電鉄のごみ収集DXシステム「WOOMS」が全国10以上の自治体に広がる
- 10月からは川崎市でも「ごみ分別率の向上」に向けた実証実験を開始した
- ゴミ収集現場の人手不足や属人化の課題を解消しながら資源分別の向上も狙う
小田急電鉄が提供する、ごみ収集・管理サポートシステム「WOOMS(ウームス)」が、関東を中心に全国10以上の自治体に広がっている。10月からは川崎市と、「ごみ分別率の向上」をテーマに実証実験を始め、プラスチックなどの資源物の混入状況を調査・分析中だ。「WOOMS」を活用し、ごみ収集現場の課題を解消しながら、資源分別の向上にもつなげる。(辻陽一郎、オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

(写真提供:川崎市)
■現場の課題は「人手不足と属人化」
小田急電鉄デジタル事業創造部の加賀隆三課長は、ごみ収集現場の本当の課題は「人手不足と属人化」だと話す。
「ごみ収集の現場は、実はとても複雑です。ネットのかけ方に細かいルールがあったり、マンションなどの場合には鍵がかかっていたりなど、戸別ルールが多く、属人化しているのが現状です」(加賀課長)
WOOMSは、最適なごみ収集ルートの設定や回収状況のリアルタイムでの把握を可能にするほか、通行不可といった道路情報や特定の収集ポイントでの注意事項などを、デジタルを活用してドライバー間で共有する。
車両同士の連携が進めば、従来は1台ごとに回っていたのが、複数の車両がワンチームとして回れるようになり、積載効率の向上という成果も期待できる。

(写真提供:川崎市、オルタナ編集部にて編集)
■川崎市ではプラ・段ボールの資源化の向上に
川崎市では、「普通ごみへのプラスチック製容器包装の混入状況の把握」と「段ボールなどの古紙収集の効率化」の2点についての実証実験が始まった。12月13日までのおよそ2か月間、川崎市高津区および宮前区の普通ごみ収集車など40台が対象だ。
川崎市は2026年4月、市内全域でのプラスチック資源の回収を開始する予定だ。今回の実証では、WOOMSを用いてプラスチックの混入状況や混入場所を共有・記録する。それにより来年度以降、ビフォーアフターを検証していく。
もう一つの段ボール回収も、川崎市における課題の一つだ。段ボールが資源回収の日ではなく、普通ごみの日に一緒に捨てられてしまうと、焼却されてしまう。
今回の実証では、普通ごみの収集日にドライバーが段ボールを見つけた場合、その場所をWOOMSのシステム上でマーキングして情報を共有する。その情報をもとに、後発の資源ごみ収集車がその場所を回って回収する。これにより、効率的な収集と同時に、資源化量の増加を図る。
■WOOMSの導入、沿線外にも
WOOMSを導入する自治体は、実証実験中も含めて10以上に広がる。
神奈川県内の座間市、藤沢市、相模原市や、都内の大田区、杉並区と、現時点では小田急沿線の東京・神奈川エリアが中心だ。しかし沿線外では青森県弘前市や仙台市での導入も進む。
過去には東京・町田市で、小田急電鉄とユニ・チャームは、WOOMSを活用して家庭からの使用済み紙おむつの分別・回収の可能性について検証したこともある。
小田急電鉄は、ウェイストマネジメント事業の一環として「WOOMS」の提供を行うほか、小学校でごみ分別を学ぶボードゲームを使った啓発活動なども行う。ビジョンとして掲げる「Beyond Waste(ビヨンド・ウェイスト)」、ごみのない世界を目指して、全国各地に取り組みを広げていく考えだ。
*ユニ・チャームが小田急電鉄のWOOMSを使って使用済み紙おむつの分別・回収の実証実験を行った地域について、当初誤った情報を掲載しておりましたが、東京・町田市に修正しました。


 
                                        

 
                                     
				 
				 
				 
				 
				 
				 
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