続く現代の奴隷労働、第4回「国連ビジネスと人権フォーラム」報告――下田屋毅の欧州CSR最前線(48)

国連主催の第4回目となる「ビジネスと人権フォーラム」が2015年11月16日~18日にスイス・ジュネーブで開催された。このフォーラムは、2011年6月に国連で全会一致で承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」の普及を目的として、2012年から年次開催されることとなったものである。筆者は、前年、前々年に続き参加の機会を得た。(在ロンドンCSRコンサルタント・下田屋毅)

「ビジネスと人権フォーラム」の参加登録数は年々増加し、関心が高まっている。2012年の第一回は1000人、2013年は1700人、2014年は2000人、そして2015年の第四回は、130か国から2300人に上った。

参加者の内訳は、女性52%、男性48%。また政府12%、NGO36%、企業22%、大学研究者15%、各国人権研究所3%、労働組合1%、マルチステークホルダー・イニシアティブ2%、専門職団体・その他1%となっている。日本関係者は全体で25人前後とみられ、2014年(15人前後)よりも参加者数は増加した。

第4回目国連「ビジネスと人権フォーラム」の様子(下田屋毅撮影)
第4回目国連「ビジネスと人権フォーラム」の様子(下田屋毅撮影)

この「国連ビジネスと人権に関する指導原則」は、1)国家による人権保護の義務、2)人権を尊重する企業の責任、3)人権侵害を受けた者への救済へのアクセスーーから構成され、「人権の尊重」、「救済へのアクセス」に関して企業の取り組みが必要とされている。

国連ビジネスと人権フォーラムは、世界の全地域からのステークホルダーに対し、「ビジネスと人権」に関する対話のための主要な会合の場所を提供し、効果的で包括的な指導原則の導入へ向けたエンゲージメントを強化することなどを主要目的としている。

■初の女性議長が開会の辞

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下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

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