NECがSSBJ基準に対応した「サステナAI」、開示業務の工数93%削減も

記事のポイント


  1. NECはサステナ情報開示に特化したAIシステムの開発に取り組むと発表した
  2. 金融庁が2027年3月期から義務付けるSSBJ基準に対応した「サステナAI」だ
  3. すでに自社内でこのシステムを導入しており、93%の工数削減に実現した

NECは2026年4月16日、サステナビリティ情報開示に特化したAIシステムの開発に取り組むと発表した。金融庁が2027年3月期からプライム市場に上場する企業に義務付けるSSBJ基準に対応した「サステナAI」だ。すでに自社内でこのシステムを導入しており、93%の工数削減に実現したという。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

NECはAIで有価証券報告書の気候関連開示の効率化・高度化を図る

サステナビリティ情報開示を巡っては、サステナビリティ基準委員会が気候関連開示基準(S2)を公表し、温室効果ガス排出量やリスクと機会、財務インパクトへの体系的な開示を求めている。

金融庁は時価総額3兆円以上のプライム上場企業に対して、2027年3月期から有価証券報告書ではSSBJ基準に則り開示することを義務付けた。適応対象の企業は年々拡大していく予定だ。

■SSBJの関連資料は1300ページに及ぶ

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NECはこうした課題に先行して対応するため、AIを活用した「サステナAI」を開発した。SSBJ基準の要求事項の整理や分析、社内外データの収集と評価、さらには開示文章の作成支援までを行う。

SSBJ関連資料はISSB基準などを含めると約1300ページに及び、膨大かつ複雑だ。従来は専門人材による多大な工数が必要だったが、AIによりこの負担を大幅に軽減した。

同社が行った実証では、基準理解から情報収集、分析、開示文書作成までの一連のプロセスで93%の工数削減を達成した。経験の浅い担当者でも一定水準の品質で開示資料を作成できる再現性の確保にもつながったという。さらに、最新の基準や社内データ、他社事例を踏まえた文章案の生成やチェック機能も備え、開示品質の底上げにも寄与する。

■気候分野に加えて、一般開示基準(S1)対応も

同社はこれまで、CDPで7年連続最高評価を獲得するなどサステナビリティ開示の知見を蓄積してきたほか、自然資本に関するTNFDレポートでもAI活用により分析の高度化と大幅な効率化を実現してきた。

こうした実績を背景に、今回の取り組みで得たノウハウを基に、有価証券報告書の気候関連開示を支援するサービスを2026年度中に提供する予定だ。

今後は、AI活用の対象を気候分野(S2)から一般開示基準(S1)へ拡大し、サステナビリティ開示全体を支援する仕組みへと進化させる。自律的にタスクを分解・実行する「エージェントAI」の導入も視野に入れる。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #サステナ情報開示

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