また、キャラクターを用いた販売促進に関しても、厳しい規制が設けられている。アメリカのガイドラインでは、「12歳未満の子ども向け番組に登場するキャラクターがその番組の前後で流される広告に登場し、商品・サービスの宣伝をしてはいけない」、「12歳未満の子ども向け番組の内容に関連している商品を番組中、または前後で広告してはならない」としている。
特に年少の子どもは空想や想像を用いた遊びが大好きだが、見たり聞いたりすることを頭の中で思い浮かべることは、言語の発達の為には非常に重要である。そのため、番組と広告の区別がつかない子どもに配慮したこうした規制措置が必要となる。ベルギーやフランスといった欧州諸国でも、番組の後に緩衝材を設ける、または一定の時間をおいて広告を流すといった配慮を求めている。
パリに本部をおく国際商業会議所(英語名:International Chamber of Commerce – ICC)は、2011年にデジタルマーケティングに関わる要項を追記し、改定した。ネットユーザーの興味や関心によって広告を配信する「行動ターゲティング広告」に関して、12歳以下の子どもの対象区分は作ってはいけないとしている。
成長の過程で消費者としての情報リテラシーを身につけるには、非常に重要な課題と言える。MediaSmart(メディア・スマート)というイギリスのNGOは、複雑化するインターネット上の広告の仕組みを7歳~16歳の子どもたちに教えるという活動を展開している。7歳以上の子どもたちに、広告は商品の宣伝であるということ、広告費が支払われてネット上の広告が存在すること、ゲームの中にも広告があることなどを説明している(※7)。
子どもたちが、変わりゆくマーケティング手法を理解し、消費者として自立できるよう教育はサポートしなければならない。これには、保護者だけでなく、教育関係者、そして企業としても果たすべき役割がある。子どもたちが自尊心を養い、健全な生活スタイルを構築し、環境や他者への配慮といった価値を創造するために、マーケティングや広告は重要な役割を果たす。
企業の社会的責任は、サプライチェーンだけでなく、マーケティングや広告活動を含むバリューチェーン全体を通じて配慮されるべきである。単に消費を促す製品や企業価値の発信だけでなく、子どもの権利の尊重・推進や環境への配慮など、マーケティングや広告を通じて社会的な価値を積極的に促すことで、社会からの評価も向上し、ひいては事業の持続性にも繋がるのではないだろうか。
※7 Media Smart UK : http://mediasmart.uk.com/