記事のポイント
- パルコが夏のバーゲンセール「パルコグランバザール」を全館で見送った
- 地球温暖化で夏が長期化する中、バーゲンなしでも夏物が売れると判断した
- バーゲン売れ残りの大量廃棄も減り、衣料品廃棄の削減も期待できそうだ
商業施設大手のパルコ(東京・渋谷)が、夏のバーゲンセール「パルコグランバザール」を今年は開催しないことが分かった。1970年から実施してきた恒例イベントの中止は過去55年で初めて。夏の長期化が進む中、同社の広報担当者は「従来のカレンダー戦術(季節や暦に合わせたセール)から脱却する」と説明した。アパレル業界に共通する「バーゲン依存型」からの脱却は、気候変動による夏の長期化への「適応」(対応)や、政府も進める衣料廃棄物の削減につながり、同業他社の追随もありそうだ。(オルタナ副編集長=京正裕之)

パルコグランバザールは、夏と冬に開催してきた全館一斉の大型セールだ。パルコは全国に15店舗を展開するが、今年は夏のグランバザールを開催しない。1970年から実施し、毎年開催してきたここ数十年では初めての中止となった。
同社の広報担当者は「従来のカレンダー戦術から脱却し、体験価値提供を軸に営業企画を構築していく」と述べた。グランバザールは、パルコの各テナントのセールと同社が手掛ける集客・販促企画を全館共通で実施してきた恒例イベントだった。今年はこれまでの「セール企画」から「夏休みの楽しい体験価値提供企画」へ変更すると説明した。
全館一斉バーゲンは見送ったが、15店舗中14店舗でそれぞれのショップが夏のセールを実施しているという。冬のパルコグランバザールは継続する予定だ。
■夏の長期化で販売手法が変化
日本では近年、地球温暖化の影響で春先から秋口まで気温の高い日が続く傾向が強まっている。アパレル業界では、従来の「初夏に販売し、真夏に一斉値下げする」という季節ごとの販売サイクルが実態と合わなくなり、夏物商品の販売期間が長期化している。
パルコは、夏の長期化の影響について、「グランバザールの開催見送りの直接的な要因ではない」とした上で、夏物アパレルの販売期間が延びている事実はあるとした。
パルコは従来の販売カレンダーを前提とした値引き中心の販促から脱却し、7〜8月を通じて来館体験を高めたい考え。短期間で大量に売り切る従来型のバーゲンを見直す動きは、気候変動への「適応」という見方ができる。
■国は30年までに衣料廃棄物25%削減目指す
ほかにも、衣料品の大量廃棄の削減につながるとみられ、国の政策にも合致する側面がある。環境省は2026年3月に「サステナブルファッションの推進に向けたアクションプラン」を策定し、2030年度までに家庭から廃棄される衣類を2020年度の51.5万トンから25%削減する目標を掲げた。2025年の国内の衣類新規供給量は82万トンで、このうち約50万トン(家庭から46万トン)が手放されている。
背景には、衣料品の製造から廃棄までの過程で温室効果ガスの排出や水資源の大量消費、合成繊維由来のマイクロプラスチックの流出など環境負荷の大きさがある。同プランでは、「使えるものは長く使う」「使えるものは譲る」「全国どこでも分けて出せる」を柱に、リユースやリサイクルの拡大に加え、衣類の適量生産・適量販売や、「長く使えて資源を循環しやすく作る」製品づくりを推進している。
パルコが夏の短期間の大型値引き販促から脱却し、体験価値を軸とした戦略へ転換することは、結果として過度な大量消費を抑え、適量販売や売れ残りの抑制につながる可能性がある。国が進めるサステナブルファッション政策とも方向性を共有する動きとして、同業他社の追随もありそうだ。



