都会の水辺で青く輝く生きもの2題

 

「生物多様性の保全」というと、遠いことのようにも聞こえる。しかし、まずは、生きものの存在を知ること、関心を持つことから、私たちもその取組みに参加することができる。

チョウトンボは、トンボのような身近な生きものにも、意外な発見があること、東京都心にも比較的希少な生きものたちが生息することを気づかせてくれる一例だ。そしてまた、自分自身の見方や意識、あるいはその時の周囲の状況によって、存在を認識できないことがあったり、同じものでも全く違った見え方となることなどを体現してくれている。

カワセミ

水辺の青く輝く生きもの、といえば外せないのはカワセミだ。渓流の宝石とも、空飛ぶ宝石とも呼ばれ、漢字では「川蝉」の他、「翡翠」という字も当てられる。清流と豊かな自然を象徴するような野鳥でもあった。

カワセミは都心でも見かけることができる
都心にも生息するカワセミ (撮影地: 野川)

そのカワセミは、最近は、東京23区内でも観察しやすい野鳥となっている。緑に囲まれた公園や庭園の池はもちろん、住宅街を流れる川でも珍しくない。川沿いの歩道を散歩している折、眼下から直線的に飛び去っていく青く輝く後姿に感銘を受けた方も相当いらっしゃるのではないか。

美しいだけでなく、小さな体で水中に飛び込み、体重の何分の一かに相当するような魚をくわえて飛び立つ瞬発力、背丈ほどもありそうな魚をひとのみにして消化していく強靭な肉体など、エネルギッシュな生命力を持つ。

一般に鳥類は哺乳類に比べて寿命が長いと言われる。もちろん、野生生物の場合、独り立ちするまでの間に多くの個体が命を失う。従って、人間のように平均寿命という概念で比べることは適当でない。最高寿命なども飼育下の事例中心で、野生の状態での寿命はよくわかってない部分が多い。

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坂本 優(生きものコラムニスト/環境NGO代表)

1953年生。東京大学卒業後、味の素株式会社入社。法務・総務業務を中心に担当。カルピス株式会社(現アサヒ飲料株式会社)出向、転籍を経て、同社のアサヒグループ入り以降、同グループ各社で、法務・コンプライアンス業務等を担当。2018年12月65歳をもって退職。大学時代「動物の科学研究会」に参加。味の素在籍時、現「味の素バードサンクチュアリ」を開設する等、生きものを通した環境問題にも通じる。(2011年以降、バルディーズ研究会議長。趣味ラグビー シニアラグビーチーム「不惑倶楽部」の黄色パンツ (数え歳70代チーム)にて現役続行中)

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