都会の水辺で青く輝く生きもの2題

 

だが、例えば、毎年、北極(グリーンランド)と南極の往復という、過酷とも思える遠大な渡りをするキョクアジサシも、事故がなければ数十年生きるという。コンドルやオウムなど、飼育下ではあるが70年以上の齢を重ねた例も知られているようだ。

空を飛ぶ心肺機能を持つだけに鳥は長生きなのだろうか。

そんななかで、カワセミの寿命は数年とも聞く。飼育下での事例は知らないが、バイタリティ溢れるがゆえに、太く、短く命を燃やし尽くしているかのようだ。

今、東京都心など都市では、カワセミは必ずしも、清流の鳥ではない。コンクリートの護岸や金網の石籠に停まって、よどんだ水面を凝視する姿もしばしば見かける。

カワセミ2
(撮影地: 東大本郷 三四郎池)

何万世代と受け継いできた命を、次世代につなげるべく、新たな環境のなか、よどみに飛び込んでいくカワセミ。そこには「渓流」、「宝石」、「翡翠」、という人間からの思い入れとは別に、逞しく生きる命の姿がある。だが、その命が将来的にも引き継がれていくか否かは、私たち人間の営為や選択に大きく左右される。

そしてその選択は、生きものたちの命の輪の一部である、私たち自身の将来にも直接的につながっている。

 

 

 

sakamoto_masaru

坂本 優(生きものコラムニスト/環境NGO代表)

1953年生。東京大学卒業後、味の素株式会社入社。法務・総務業務を中心に担当。カルピス株式会社(現アサヒ飲料株式会社)出向、転籍を経て、同社のアサヒグループ入り以降、同グループ各社で、法務・コンプライアンス業務等を担当。2018年12月65歳をもって退職。大学時代「動物の科学研究会」に参加。味の素在籍時、現「味の素バードサンクチュアリ」を開設する等、生きものを通した環境問題にも通じる。(2011年以降、バルディーズ研究会議長。趣味ラグビー シニアラグビーチーム「不惑倶楽部」の黄色パンツ (数え歳70代チーム)にて現役続行中)

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