コンゴ紛争鉱物と性暴力ーーノーベル賞候補が語る

4万人以上の被害者を助けた、ムクウェゲ医師

聴衆を見渡すムクウェゲ医師
聴衆を見渡すムクウェゲ医師

ムクウェゲ医師はコンゴの産婦人科医であり人権活動家でもある。1999年から性暴力を受けた被害者の救済を始め、これまでに4万人以上の被害者を身体的にも精神的にも治療してきた。

「同じ女性が二度のレイプ被害を受け、どちらも治療した。その子どももまたレイプされて治療をした。治療は結果を修正しているにすぎない。だから問題の原因を無くそうと声を上げることにした」と医療にとどまらない活動を行う理由について語った。

軍や武装勢力を臆することなく批判してきた同医師は、2012年に度重なる暗殺未遂にあい、国外に避難したこともある。

同医師の調査では、性暴力が発生する場所と鉱山のある地域、武装勢力の所在地を地図に印すと見事に一致するという。

「鉱物調達に関する規制を決めることも必要だが、より重要なのは平和をもたらすことだ。そのためには、鉱物資源がからむ経済戦争をやめさせなければならない。犯罪者が処罰されない状態を野放しにしないことが大事だ」とコンゴにおける法と正義の実現の必要性について強く語った。

紛争鉱物取引の国際的な規制は十分か

2010年にアメリカでドッド・フランク法が成立したことを皮切りに、中国やEUでも鉱物調達の規制が始まっている。

東大がムクウェゲ医師を迎えるにあたり事前に開催したイベントには京セラ資材本部資材本部室SCMリスク管理課責任者の上田肇氏が登壇し、「紛争鉱物への対応は米国の上場企業のみならず、すべての企業のCSRのレベルを測る指標となっている。これに取り組まない企業とは契約をしないという考え方が一般的になってきた」と話した。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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