昨年10月14日、トヨタ自動車は環境の長期目標「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表した。「2050年までに新車平均走行時CO2排出量を90%削減」「ライフサイクル視点で、材料・部品・モノづくりを含めたトータルでのCO2排出ゼロ」「グローバル規模で工場CO2排出ゼロ」など意欲的な内容で、内外からの評価を一気に高めた。(オルタナ編集長・森 摂)
高い長期目標を掲げてチャレンジする手法は「バックキャスティング」と呼ばれる。スウェーデン軍隊に端を発するこの手法は、「未来起点」の発想と「有言実行型」が大きな特徴だ。
一方、日本ではまだ「不言実行」「現状からの積み上げ型」を旨とする企業が多い。「できもしないことを外部に約束して、できなかったら恥だ」と考える経営者が多数だ。トヨタも例外なく、「不言実行」を良しとする社風だった。
それがなぜ、一転して大胆な長期目標を打ち出したのか。その背後には、あるNGOの存在があった。