環境の長期目標でトヨタ自動車の背中を押したNGO

そのNGOとは、WWF(世界自然保護基金)ジャパンだ。WWFインターナショナルは1961年の設立で、いまや世界最大規模の自然環境保護団体である。

事の発端は、WWFジャパンが2015年2月に発表した「企業の温暖化対策ランキング」(輸送機器編)だった。このランキングは、各社のCSR/環境レポートを参考にして、各社の温暖化の取り組みを偏差値化した。

その結果、トヨタは28社のうち4位に入ったものの、ライバルである日産自動車(1位)や本田技研工業(2位)の後塵を拝した。得点が伸びなかった最大の理由は「長期的なビジョン」を作っていなかったことだ。

WWFジャパンはランキングの発表後、2週間ほどして、トヨタ自動車に「対話」の申し入れをする。同社はこれを受け入れ、WWFジャパンの自然保護室と、トヨタ自動車の環境部が対話を持つことになった。

WWF側は1)長期的なビジョン、削減目標づくり 2)ライフサイクル全体での排出削減 3)再生可能エネルギーの活用、普及ーーの3点を掲げ、科学的知見を踏まえたトップダウン的な視点を持ち、取り組みを進めていくことが重要だとアドバイスした。

それだけでなく、トヨタは2016年1月、「SBT」への参加を表明することになった。

SBTとは「Science-based Target(科学的根拠に基づいた温室効果ガスの削減目標)」のことで、WWFのほか国連グローバル・コンパクト、CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、WRI(世界資源研究所)の4者が共同で提唱するイニシアティブのことだ。

現在、世界でSBT参加の表明をした企業は193社。このうち日本企業はダイキン工業、野村総研、花王、大日本印刷、トヨタ自動車、日本ゼオン、コニカミノルタ、リコー、本田技研工業、キリン、横浜ゴム、電通など19社だ。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #CSR

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